【寄稿 小川邦和】衣笠祥雄は弱者に優しく、ときに厳しく

公開日: 更新日:

■十八番は「聖者が街にやってくる」

 地元の広島でも衣笠の評判はよかった。タクシーの運転手は、「○○のところに迎えに行くのは嫌だが、衣笠のところには行きたい」と話していた。衣笠が誰に対しても偉ぶらず、自然に接していたからだろう。

 衣笠の娘さんが友人とタクシーに乗ったとき、娘さんだと知らない運転手から、「ワシは衣笠の大ファンや」と言われて、どう返事していいか恐縮したとも聞いた。

 歌もうまかった。独特の雰囲気、リズム感を持ち、アメリカのジャズ「聖者が街にやってくる」などは玄人はだしだった。ただ、それをひけらかしたりすることはない。また服装のセンスもよかった。

 選手としての実績も人柄も素晴らしいのに、広島の監督にはならなかった。聞いた話では、本人の強い意志だったそうだ。選手としての晩年に当時の松田オーナーから「現役を辞めたらカープの監督に」と要請されたものの、「私はやりません」と丁重に断ったという。

 監督の重責や家族の負担、少年時代からの苦労、自己顕示欲のなさ……さまざまな要因が重なって、そう決断したのかもしれない。野球人としても人としても、球界は得難い人材を失った。合掌。

(小川邦和・野球評論家)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網