阪神・金本監督は現役時代と同じで一生懸命に過ぎる
プレーをするのは選手と割り切り、彼らをグラウンドに送り出したら、あとはじっと見守り、信じて我慢するのが監督の一番の仕事――これが私の持論だが、そういう物差しで見ると、阪神・金本知憲監督(50)の評価はどうしても厳しいものになってしまう。
決して戦力がないわけではない。近代野球におけるペナント制覇の大きな条件となる「七回以降の投手力」を考えれば、阪神はむしろ、戦力的に頭一つ抜けていると言っていい。勝ち試合を担う桑原、マテオ、ドリスの並びはリーグ屈指。両外国人に故障のアクシデントがあったとはいえ、それを能見と藤川が補うという豪華な陣容だ。
にもかかわらず、首位の広島を除くセのダンゴ状態にのみ込まれている。リーグトップのチーム防御率(3・54=28日現在)に対し、チーム打率はリーグワースト(・239)。打線が足を引っ張っているのは数字を見れば一目瞭然だが、この貧打が何に起因するものなのか。
金本監督に原因を求めざるを得ないのだ。阪神打線はとにかくメンバーがコロコロと代わる。レギュラーへの足掛かりをつかんだかに見えた高山(25)、大山(23)はすっかり出番を失った。北條(23)もそうだ。ここにきて先発出場が増え始めた陽川(26)、中谷(25)、原口(26)だって、いつまたベンチを温めたり、二軍に落とされるんじゃないかとヒヤヒヤなのではないか。何しろ、鳴り物入りで加入したはずのロサリオ(29)が二軍再調整を命じられ、その間に米国から新助っ人のナバーロ(32)を獲得するようなやり方だ。