米ドラフトを翻弄 敏腕代理人ボラス氏“4つのマジック”とは

公開日: 更新日:

 1990年以降のドラフトは辣腕代理人ボラスの「マジック」に翻弄され続けた。

 最初は「交渉期限マジック」だった。各球団とも、指名後15日以内に条件提示をしなければならないというルールを守っていなかったため、ボラスは96年のドラフトで顧客の有望選手4人が1巡目で指名されると、球団と一切連絡を取らずに15日が過ぎるのを待った。条件提示がないので指名は拘束力を持たなくなったと主張。それが認められ、4人はFA選手になった。ボラスは4人を2年後の発足に備えて有望新人を欲しがっていた新球団のデビルレイズ(現レイズ)に相場の数倍の契約金で入団させた。これに懲りたMLBは翌年交渉期限を指名後15日間から「翌年のドラフトの1週間前まで」に変更。するとボラスは期限が異様に長くなったことを利用して、有望株に期限ぎりぎりまでサインさせずに契約金を相場の倍以上に吊り上げる作戦に出た。そのためMLBは07年に交渉期限を「8月15日まで」に再改定した。

 第2は「アマチュア規定骨抜きマジック」である。97年までのドラフトは「アマチュア選手を対象にする」と規定されていた。それに目を付けたボラスは、大学の有望株J・D・ドリューが97年のドラフトで資金力のないフィリーズから全体2位で指名された際、入団を拒否させ、独立リーグの球団と「プロ契約」を交わした。ボラスは「これでドリューはアマチュア選手ではなくなった。好きな球団と契約できる」と主張したが、MLBの仲裁人から却下された。ドリューは翌年のドラフトでカージナルスに全体の5番で指名された。ボラスが指名は無効であると主張したこともあってカ軍は手を焼き、前年フィリーズが提示した金額の3倍近い850万ドルで契約する羽目に。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋