著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

新型肺炎とインフルエンザに悲鳴を上げる球団経営者たち

公開日: 更新日:

■バスケを足掛かりに

 欧州での「チーム爆買い」が批判を受けた反省を踏まえ、まず中国でも人気の高いバスケットボールで米国プロスポーツの経営の実績を重ねたのち、段階的にNFLや大リーグの球団の買収を実現させるという観測もあった。だが、新型肺炎問題で中国経済が停滞すれば「スポーツ産業の成長」という習近平政権の政策そのものが頓挫しかねない。

 しかも、「世界の工場」であり、一大消費国である中国の経済が停滞すれば、最大の貿易相手国である米国経済そのものが打撃を受けるのは明らかだ。

 連邦準備制度理事会議長のジェローム・パウエルが連邦下院の金融委員会で「中国を混乱させ、世界経済に波及する可能性がある」と指摘したのは、このような米中間の経済関係の現状を改めて示すものだった。

 また、米国でのインフルエンザの流行は例年10月ごろに始まり、5月ごろまで続く。それだけに、今のところ米国内での新型肺炎の封じ込めは成功しているものの、インフルエンザの蔓延が続く可能性は否定できない。

 もし、国外で新型肺炎、国内でインフルエンザが流行したままであれば、米国内の経済活動も停滞し、スポーツ産業を含む米国経済への中国資本の流入も細ることで、チーム経営の基礎が動揺しかねなくなる。プロスポーツの経営者たちが先行きを楽観視できないのも、当然のことなのである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

  2. 2

    横浜とのFA交渉で引っ掛かった森祇晶監督の冷淡 落合博満さんは非通知着信で「探り」を入れてきた

  3. 3

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  4. 4

    国宝級イケメンの松村北斗は転校した堀越高校から亜細亜大に進学 仕事と学業の両立をしっかり

  5. 5

    放送100年特集ドラマ「火星の女王」(NHK)はNetflixの向こうを貼るとんでもないSFドラマ

  1. 6

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー

  2. 7

    【京都府立鴨沂高校】という沢田研二の出身校の歩き方

  3. 8

    「核兵器保有すべき」放言の高市首相側近は何者なのか? 官房長官は火消しに躍起も辞任は不可避

  4. 9

    複雑なコードとリズムを世に広めた編曲 松任谷正隆の偉業

  5. 10

    中日からFA宣言した交渉の一部始終 2001年オフは「残留」と「移籍」で揺れる毎日を過ごした