著者のコラム一覧
六川亨サッカージャーナリスト

1957年、東京都板橋区出まれ。法政大卒。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年にサカダイを離れ、CALCIO2002の編集長を兼務しながら浦和レッズマガジンなど数誌を創刊。W杯、EURO、南米選手権、五輪などを精力的に取材。10年3月にフリーのサッカージャーナリストに。携帯サイト「超ワールドサッカー」でメルマガやコラムを長年執筆。主な著書に「Jリーグ・レジェンド」シリーズ、「Jリーグ・スーパーゴールズ」、「サッカー戦術ルネッサンス」、「ストライカー特別講座」(東邦出版)など。

現状の日本でJ再開は困難 韓国やドイツとの決定的な差とは

公開日: 更新日:

 ドイツ・ブンデスリーガが5月16日に再開する。前日の15日は、28年前にJリーグが開幕した日だ。今年は初めて記念日にJリーグの試合ができないため、Jリーグ事務局はYouTubeにて15日のヴェルディ川崎vs横浜マリノスの開幕戦と翌16日に行われた(残り)4試合がオンエアされる。

 11日午前、JリーグとNPB(日本野球機構)合同の「第7回新型コロナウイルス対策連絡会議」が行われ、同日の夕方からJリーグの「第5回実行委員会」が開催された。結論から言うと、プロ野球もJリーグも「再開・開幕の日時を確定するのは時期尚早」ということになった。

 今後の展望は、まずは政府の緊急事態宣言の解除が大前提となる(14日に東京、大阪、北海道、埼玉、千葉、神奈川、京都、兵庫以外は解除)。

 さらに各地の首長(自治体)との合意も必要になる。そしてリーグ戦を再開する場合、全選手にPCR検査を実施することも検討されている。

 というのも5月8日に開幕した韓国Kリーグ、16日に再開するブンデスリーガとも、PCR検査を義務づけているからだ。

 Kリーグの再開戦はパソコンの画面越しに観戦したが、ベンチ入りの全選手のマスク着用が義務づけられ、試合中の飲料水も各自が個別のボトルを使用。それぞれに名前と背番号が付けられるなど細心の注意が払われていた。もちろん無観客試合である。

■徹底対策しているブンデスリーガ

 ブンデスリーガの場合はさらに徹底している。

 スタジアム内外を3つのゾーンに分け、各ゾーンに入れる人数(選手も含めて)限定している。 通常、ピッチ上で撮影するカメラマンは150人程度だが、今回は1試合3人に限定するという報道もあった。

 Jリーグは、韓国とドイツの詳細な資料を取り寄せて細部に渡って検討し、その後の諸対応も注視しているだろう。村井チェアマンも「ブンデスリーガは無観客(試合に即した)のプロトコルを作っている。Jリーグでも検討する。ロッカー、シャワー(の使用)など細かく決めていきたい」と話していた。

 それでも現状の日本では、再開に向けて厳しい状況にあると言わざるをえない。なぜなら、肝心要のPCR検査が韓国やドイツと比べて大幅に立ち後れているからだ。

 これについて村井チェアマンは「国民の健康が第一番」と強調した上で、「我々だけが検査の優先は考えていない。国民のコンセンサスが必要だ」とコメント。今後は保健所以外にも民間の検査場の拡充、抗原検査などいろいろな検査方法に期待を寄せている。

 問題は他にも多々ある。選手は外出を自粛して自宅に長く留まっているため、試合を通して必要な「ゲーム体力」を回復する必要がある。

 そのためには自主トレだけでなく、何よりもチームの全体練習が必要だ。コンディション管理にしても、ある程度の時間が必要となる。

■疲れ切って免疫力が落ちた選手の健康確保も課題

 Kリーグの全北現代と水原三星の試合は、少なくとも前半は見どころが少なかった、選手同士が足元から足元にパスをつなぐだけ。スペースへのフリーランニングもなければ、攻守にスプリントする選手もいなかった。

 後半になって試合は激しさを増していき、日本でもお馴染みのベテランFWイ・ドングッが、左CKをヘディングで決勝点を奪い、全北現代が勝利を収めた。試合を通して痛感したのは、選手がコンディション作りに苦労していることである。

 恐らく前半は、両チームの選手ともかなり力をセーブしながらプレーしていたことだろう。初っ端からフルパワーで行った場合、とても90分間もたないからだ。

 昨シーズンのJリーグでこんなことがあった。FC東京で売り出し中の左SB小川諒也が、夏に重度の捻挫をしてしまった。秋が深まる頃に戦列に復帰して全体練習に参加したが、それでもベンチ入りはできなかった。

 小川は「ゲーム体力が戻っていません。紅白戦でも息切れがしてしまいます」と話していた。

 トップアスリートというのは、それだけ1試合でのフィジカル面での消耗が激しい。やはり試合となると選手たちは、それなりの準備期間が必要だし、試合終了後は疲労困憊となって免疫力の落ちている選手の健康確保という問題も出てくる。

 総合的に考えるとJリーグの再開は、早くても7月になってからとなるのではないだろうか。もちろん再開後、感染者が出た場合など多くのことを想定して対応策を講じておく必要がある。

 出口が見えてきたようで……見えない敵との戦いは、まだまだ続いていく。

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