著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

セクハラ報道に株で逮捕…地に落ちた「3冠監督」のその後

公開日: 更新日:

1976年モントリオール五輪・女子バレー金メダル監督 山田重雄さん(下)

 1976年のモントリオールオリンピック。日本女子バレーボールチームは、決していい状態ではなかった。緊張する松田紀子は、消化不良を起こして食事はおかゆ。ソ連との決勝戦直前には、岡本真理子はトイレでパンツの紐がほどけずに焦り叫び、前田悦智子は洗面所でコンタクトレンズを失くした……。

 ハプニングは起こったものの、監督の山田重雄は冷静だった。両国の6人がコートに散らばったときだ。日本選手は一斉にベンチの山田を見てほほ笑んだ。ソ連のメンバーは、顔ぶれもポジションもシミュレートし、練習してきたものとまったく同じだったからだ。

 結局、日本はソ連を寄せ付けず、セットカウント3―0。1時間ほどで金メダルを奪取し、中継していたNHKアナの西田善夫は「泣かない優勝です……」と表現した。エースの白井貴子は、監督・山田に言った。

「オリンピックって面白くなかった。練習通りやったら、金メダルだもん」

 山田はこう語った。

「簡単に金メダルを取ったからね。選手もそうだけど、帰国後もあまり喜んでもらえなかった。判官びいきの好きな日本人は、強すぎると感動しない」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木麟太郎をドラフト指名する日本プロ球団の勝算…メジャーの評価は“激辛”、セDH制採用も後押し

  2. 2

    日本ハム新庄監督がドラフト会議出席に気乗りしないワケ…ソフトB小久保監督は欠席表明

  3. 3

    ヤクルト青木“GM”が主導したバランスドラフトの成否…今後はチーム編成を完全掌握へ

  4. 4

    吉村代表こそ「ホント適当なんだな」…衆院議席3分の1が比例復活の維新がゾンビ議員削減と訴える大ボケ

  5. 5

    吉村代表は連日“ドヤ顔”、党内にも高揚感漂うが…維新幹部から早くも「連立離脱論」噴出のワケ

  1. 6

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  2. 7

    ブルージェイズ知将が温めるワールドシリーズ「大谷封じ」の秘策…ドジャース連覇は一筋縄ではいかず

  3. 8

    高市政権は「安倍イタコ政権」か? 防衛費増額、武器輸出三原則無視、社会保障改悪…アベ政治の悪夢復活

  4. 9

    今秋ドラフトは不作!1位指名の事前公表がわずか3球団どまりのウラ側

  5. 10

    亀梨和也気になる体調不良と酒グセ、田中みな実との結婚…旧ジャニーズ退所後の順風満帆に落とし穴