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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

新庄剛志に思う コロナ禍の闇に光る“距離感のある明るさ”

公開日: 更新日:

 もうなんというか、最近は疲れてきた。この終わりが見えない不安の中で、阪神の誰それが悪いとか、そういう殺伐とした正論群に加わる気力も失せてきた。コロナ鬱なんて言葉も聞く。実際にそれっぽい人も周囲にちらほらいたりする。

 最近、妻はフワちゃんという女性タレントが好きだという。とりたてておもしろいというわけではなく、ただひたすら明るく陽気すぎる人という印象らしいのだが、妻が言うには彼女を見ていると日々の重苦しさから一時的に解放されるのだとか。私は彼女の存在こそ知っていたが、そんなに注目したことがなかったため、あまりピンとこない。だけど、テレビの中という「距離感のある明るさ」というのは、確かに取捨選択の主導権も自分が握っていることを考えると、このコロナ禍の閉塞感においては心地いいのかもしれない。

 これを自分に置き換えると、新庄剛志のことだと思った。ご存じ、48歳になった今、再びプロ野球選手を目指すという前代未聞の取り組みを続ける宇宙人。

 最近はよくテレビに出ているが、別に話術にたけているわけでもなければ、初耳の告白があるわけでもない。ただ底抜けに明るく前向きで、世の正論なんか気にせず、いつも陽気に笑いながらプロ野球選手になりたいと言うだけだ。

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