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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

ドラ2井上広大を“1安打”でスター扱いする阪神の悪しき伝統

公開日: 更新日:

 阪神の高卒ドラフト2位ルーキー・井上広大が一軍に昇格し、8打席目でプロ初安打初打点を記録した。高校時代は大阪の名門・履正社高の4番として高校通算49本塁打を記録した右の長距離砲。昨夏の甲子園決勝では星稜高のエース・奥川恭伸(現ヤクルト)からバックスクリーンに特大ホームランを放ち、同校を初優勝に導いた。

 当然、マスコミやファンの期待も大きい。折しも、今季は井上と同じく右の大砲タイプである4年目の大山悠輔が、持ち前の長打力で一足先にブレーク中。長年ピストル打線が悩みの種だった阪神において実に久しぶりにホームランの魅力に注目が集まっている中、絶妙なタイミングでもう一人の大砲候補、それもよりフレッシュな19歳が現れたというわけだ。

 そんな輝かしい経歴と虎党好みの文脈を背負っているからこそ、井上の初安打初打点は大いに騒がれ、試合後には早くもヒーローインタビューに呼ばれた。その日、4打数4安打を記録した先輩の大山ではなく、もうひとつのニューモデルが本拠地・甲子園でお立ち台デビューである。

 さらに、そこで振りまいた19歳の初々しい笑顔は翌日の在阪スポーツ紙や関西ローカルのテレビ番組などで大きく報じられ、井上の知名度は関西圏で一気に上昇。例のごとく「高卒新人の安打は“阪神では”97年の浜中以来」「高卒新人の打点は“阪神では”74年の掛布以来」といった職人芸的な阪神限定のローカル偉業記事がネット上に飛び交い、井上の初安打初打点を叩き出したバットとボールは記念品として甲子園歴史館に展示されることとなった。まさに井上狂騒曲である。

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