ドラ2井上広大を“1安打”でスター扱いする阪神の悪しき伝統
阪神の高卒ドラフト2位ルーキー・井上広大が一軍に昇格し、8打席目でプロ初安打初打点を記録した。高校時代は大阪の名門・履正社高の4番として高校通算49本塁打を記録した右の長距離砲。昨夏の甲子園決勝では星稜高のエース・奥川恭伸(現ヤクルト)からバックスクリーンに特大ホームランを放ち、同校を初優勝に導いた。
当然、マスコミやファンの期待も大きい。折しも、今季は井上と同じく右の大砲タイプである4年目の大山悠輔が、持ち前の長打力で一足先にブレーク中。長年ピストル打線が悩みの種だった阪神において実に久しぶりにホームランの魅力に注目が集まっている中、絶妙なタイミングでもう一人の大砲候補、それもよりフレッシュな19歳が現れたというわけだ。
そんな輝かしい経歴と虎党好みの文脈を背負っているからこそ、井上の初安打初打点は大いに騒がれ、試合後には早くもヒーローインタビューに呼ばれた。その日、4打数4安打を記録した先輩の大山ではなく、もうひとつのニューモデルが本拠地・甲子園でお立ち台デビューである。