六川亨
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六川亨サッカージャーナリスト

1957年、東京都板橋区出まれ。法政大卒。月刊サッカーダイジェストの記者を振り出しに隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長を歴任。01年にサカダイを離れ、CALCIO2002の編集長を兼務しながら浦和レッズマガジンなど数誌を創刊。W杯、EURO、南米選手権、五輪などを精力的に取材。10年3月にフリーのサッカージャーナリストに。携帯サイト「超ワールドサッカー」でメルマガやコラムを長年執筆。主な著書に「Jリーグ・レジェンド」シリーズ、「Jリーグ・スーパーゴールズ」、「サッカー戦術ルネッサンス」、「ストライカー特別講座」(東邦出版)など。

追憶のマラドーナ 90年W杯ブラジル戦で見せた一瞬の輝き

公開日: 更新日:

■たった1人、1プレーでサッカー王国を倒す

 アルプス山脈から吹き下ろす風が強く、陽が落ちると肌寒さを感じるスタジアムで<マラドーナの一瞬のきらめき>を目撃した。開始直後からブラジルの反則まがいのプレーに倒れてばかりのマラドーナが、後半79分にドリブルでカウンターを仕掛けていった。3人がかりのマークをモロともせずに突進してスルーパス。これを快足FWのカニーヒアが、GKも抜き去って決勝点を決めた。

 たった1人で、それも1プレーでサッカー王国を倒してしまった。

 この目でしっかりと焼き付け、4年前の絶好調マラドーナが戻りつつあるのではないか、と期待させるに十分だった。

 メキシコ大会・イングランド戦のマラドーナの<世紀のゴール>をスタジアムにいながら、取材の関係でスタンドから離れたことで見逃した筆者は、イタリア大会では決勝トーナメント1回戦から決勝までアルゼンチンを追い掛けた。リベンジというわけだが、ブラジル戦が行われたトリノは別にして準々決勝はフィレンツェ、準決勝はナポリと試合会場が、ベースにしていたローマから近かったという理由もある。

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