中国ワクチン外交に“籠絡”された IOCバッハ発言の無責任
「事前に話は全く聞いていない。ワクチンの接種については日本政府がやっている。組織委としてコメントする立場にない」
東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長はこう驚いていたが、日本オリンピック委員会(JOC)にとっても寝耳に水の話だったらしい。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が11日の総会で、今夏の東京五輪と来年の北京冬季五輪の参加者を対象に、中国オリンピック委員会から新型コロナウイルスのワクチンを提供するとの申し出があったと明らかにしたことだ。
バッハ会長によると、ワクチン接種費用はIOCが負担するといい、「これは東京大会の安全を確保するための、さらなる道しるべとなる」と語っていたが、果たしてそうなるのか。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「私はバッハ会長の発言は非常に無責任だと思う」と言い、こう続ける。
「コロナワクチンは副反応と安全性が大きな問題になっているのです。中国製ワクチンを英国やドイツなど西側の主要国が接種しているのであればともかく、導入例はほとんど聞いたことがありません。IOCが費用を負担する、というのであれば、少なくともファイザーなど他の種類のワクチンも参加者が自由に選べるようにするべきです」