中国の五輪野球最終予選辞退は北京五輪ボイコットの導火線

公開日: 更新日:

 敵国は黙認するのか。

 台湾で来月開催される野球東京五輪最終予選を中国が辞退した。今大会は五輪出場権の最後の1枠をかけて、6チームが参戦予定だったが、中国が欠けて5チームになった。

 中国は出場辞退の理由について明らかにしていないが、「開催国が台湾だから」とみられている。

 台湾統一を目指す中国は近年、「一つの国」を受け入れない台湾に対し、軍事的威嚇を強めている。「台湾海峡の平和と安定」を求める米国は「有事」を想定し、海軍の駆逐艦を台湾海峡に通過させたり、南シナ海で空母による戦闘演習も行った。

 米国は経済・安全保障以外に、人権問題でも中国と衝突。両国はいつドンパチを始めても不思議ではない状況だ。

 中国の野球レベルは低く、最終予選で五輪切符を獲得できる可能性はゼロに近い。それでも今回の出場辞退は軽視できないとの声もある。

 ある五輪関係者が言う。

「中国は来年、北京冬季五輪を開催する。米国を刺激する動きは見せないと思っていたが、最終予選の舞台が台湾というだけでなく、野球は米国の国技です。『これは無言のボイコットだ』と言う人もいる。米国の野球文化には報復死球がある。この国はやられたら、やり返す。欧州では、中国の人権問題で北京五輪のボイコットを求める動きがあり、米国は中国の少数民族ウイグル人に対する弾圧を大量虐殺と認定している。中国が台湾、香港への圧力を強めることも予想される。バイデン大統領が北京五輪ボイコットを決断することは考えられる」

 そうなれば、1980年モスクワ五輪のように、日本は米国に追随することになるのか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾