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澤章東京都環境公社前理事長

1958年、長崎生まれ。一橋大学経済学部卒、1986年、東京都庁入都。総務局人事部人事課長、知事本局計画調整部長、中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長などを歴任。(公)東京都環境公社前理事長。2020年に『築地と豊洲「市場移転問題」という名のブラックボックスを開封する』(都政新報社)を上梓。YouTubeチャンネル"都庁OB澤章"を開設。最新作に「ハダカの東京都庁」(文藝春秋)、「自治体係長のきほん 係長スイッチ」(公職研)

小池知事「五輪中止」のタイミング…重なる4年前の都議選

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 だが、4年前と決定的に異なる点がある。市場移転問題は、ある意味、前任者たちに起因する問題であり、自らの責任は小さかった。しかし、五輪開催問題はそうはいかない。まさに小池知事が当事者であり、開催都市のトップが直接、五輪中止に言及するのは大きなリスクを伴う。小池知事として、五輪開催に疑問や不安を抱く都民感情を最大限利用したいのは山々だが、今回は自分が前面に出て動き回る手法がとりづらい。彼女なりに悩ましいのである。

 そこで選択肢として浮上するのが、都議選における都ファの活用だ。小池知事は都ファの特別顧問であり、実質的なオーナーである。都ファにとっても小池知事頼みは4年前と変わらない。おそらく、自身の別働隊として都ファを操縦し、選挙公約に「五輪中止」を打ち出すことを小池知事は考えている、私はそうにらんでいる。

東京五輪開催可否を政争の具にしてはならない

 選挙公約であれば、知事が言った言わないの責任論から逃れられる。仮に開催となっても一会派の考えであると言い訳が立つ。

 この選挙公約作戦はメリット満載だ。五輪中止を都ファが公約に掲げれば、都民の相当数の賛同を得ることが可能である。苦戦が伝えられる都ファが盛り返せば、小池知事の政治的なプレゼンスは嫌が上にも高まるのだ。衆院選の布石としても十分である。

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