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後藤逸郎ジャーナリスト

1965年生まれ。毎日新聞大阪経済部次長、東京本社特別報道グループ編集委員などを経て現職。著書に「オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側」(文春新書)。

日本メディアによる「オリンピック礼賛」報道が増えていく

公開日: 更新日:

 開催地も大会期間が終われば、記念として町中に残した五輪マークの撤去を求められる。素朴にオリンピックを応援する人々の気持ちがIOCの特権によって踏みにじられてきたのが実態である。

 ただ、東京五輪は、コロナ感染が広がり、開催そのものが厳しい状態だ。政府は新型コロナの感染防止策やオリンピック開催の具体的基準を示さないまま、強行開催の構えを崩さない。

 本来ならば健全なジャーナリズムが政府やIOC、組織委の非を指摘するはずが、スポンサー就任や放映権で日本のメディアも“翼賛体制”に組み込まれている。恐らく、今後、五輪開催が近づくにつれて、日に日に批判は減り、オリンピック礼賛記事が増えるだろう。

 ナポレオンが流刑地を脱し、パリに戻るまでの仏革命政府機関紙の見出しを通じる体を装い、ジャーナリズムを批判したとされる寓話を知らない報道人はいないだろう。

 革命政府機関紙の見出しは、当初「人食い隠れ家を出る」というナポレオンを批判するものだったが、最後は「皇帝陛下は忠実な臣民の真っただ中を宮殿に入城された」と称賛に変わり、寓話は「これがジャーナリズムの記念碑だ。彼らはこの時以来、これ以上のことは何もしないし、何も出来ない」で締めくくられる。

 寓話を現実とするのか、日本のメディアも正念場を迎えている。

【連載】それでもやるのか?東京五輪最終攻防

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