日本ハム“ポスト栗山”に浮上する「意外な3人」の名前 最有力候補の稲葉篤紀氏には障壁が

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斎藤佑樹の引退登板に目を真っ赤

 感無量の表情で、球審に「斎藤佑樹」の名前を告げた。17日のオリックス戦で行われた“ハンカチ王子”の引退登板。ベンチで見守った栗山英樹監督(60)は、打者1人に四球を与えてマウンドを降りた斎藤の肩を抱くと、目を真っ赤にしながらねぎらった。号泣する斎藤、必死に涙をこらえる栗山監督。試合中の三塁側ベンチは異様な空気に包まれたが、自身も前日16日に今季限りでの退任が球団から正式発表された。

「ナインに退任を報告した前日も、栗山監督は目を潤ませていた。センチメンタルな指揮官らしいが、球団は感傷に浸っている時間はありません。球団最長となる10年間の監督生活でリーグ優勝2度、日本一1度と一定の成績を残したものの、2017年からはV逸が続き、Bクラスになること4度。今季は13年以来の最下位になることが濃厚です。ドラフトと育成の2本柱で成果を出してきたチーム強化の土台が崩れ始めているだけに、新監督の人選もシビアに慎重に進めざるを得ない状況です」(球団OB)

親会社は消費者からのイメージ重視

 栗山監督の後任は、OBで前侍ジャパン監督の稲葉篤紀氏(49)が有力視されていた。

 日本ハムでの現役時代に2000安打を達成。現在は球団のスポーツ・コミュニティー・オフィサーを務め、今夏の東京五輪では日本代表監督として金メダルを獲得した。実績、知名度とも抜群で、一部スポーツ紙も盛んに「最有力候補」と報じている。

 しかし、川村球団社長兼オーナー代行は次期監督について「準備はしているが、まだ話せる段階ではない」と語るにとどめ、実際に現時点で稲葉氏へのオファーはしていないようだ。

「親会社、球団はここにきて、外部招聘を軸に人選を進めているといいます。稲葉就任は五輪金メダル獲得でこれ以上ないタイミングではあるが、球団内には『五輪での成果は参考外』との声があると聞く。確かに東京五輪の野球は参加国が日本を含めてわずか6カ国。全勝での金メダルとはいえ、メジャーリーガーがひとりもいなかった米国はじめ、ライバルと目された韓国もドミニカ共和国も戦力が揃わず、監督としての稲葉の手腕を測りようがない。昨年は稲葉夫人と日本ハム選手の妻たちとのイザコザが週刊誌に報じられた。パワハラが絡む醜聞記事だったから、あれも監督招聘の障害になっているのではないか。親会社はその商売上、消費者からのイメージを重視する。暴力事件を起こした中田翔(現巨人)もあっさり放出した。今回は、稲葉監督はないとみています」

 とは、地元北海道の球界関係者だ。

 この関係者によれば、「球団周辺から漏れ伝わる話からすると、『ポスト栗山』のリストにはトレイ・ヒルマン元日本ハム監督(58)、古田敦也ヤクルト監督(56)、そして、秋山幸二前ソフトバンク監督(59)の名前があるようです。まだ一本化というところまでは至っていないみたいですが」という。

秋山氏は清宮に打撃アドバイスも

 ヒルマン元監督は03年から5年間、日本ハムを率いて2度のリーグ優勝と1度の日本一を達成。退任後はメジャーのロイヤルズ監督、ドジャースなどのベンチコーチを歴任し、現在はマイアミ・マーリンズで三塁コーチを務めている。ヒルマン元監督は今でもたびたび「ファイターズを愛している」と日本ハムへの愛着を口にし、23年開場予定の新本拠地を念頭に「素晴らしい新球場がオープンする日に、ぜひともその場にいたい」と語ったこともある。

「北海道移転元年の指揮官として実績を残し、いまだ日本ハムファンの支持率は高いですからね。日本ハムはコロナ禍で入場者数が制限される前の19年度、パ・リーグで唯一、本拠地の観客動員数が前年比マイナス(1.3%)を記録するなど、低迷する人気回復が課題になっている。秋山氏はソフトバンク監督として6年間で3度のリーグ優勝、2度の日本一と実績抜群。二軍監督の経験もあり、育てながら勝てる指揮官との評価です。ソフトバンクの次期監督有力候補でもありますが、栗山監督の求めに応じて中田や清宮幸太郎に打撃の助言を与えるなど、球団は好印象を持っています。現役時代に頭脳派捕手として圧倒的な実績を持つ古田氏は、明るく爽やかという日本ハムの親会社が求めるイメージに合致する。古田氏も日本ハムとの接点は希薄ですが、梨田(昌孝氏=08~11年)さんも栗山監督もそうでしたから」(前出の球界関係者)

 あっと驚く新監督が誕生するかもしれない。

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