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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

これが本来の戦い方…阪神の驚異的な粘りを支える「技巧派投手と小兵野手」

公開日: 更新日:

 長いこと阪神ファンをやっているが、こんなに粘り強い姿を見るのは初めてかもしれない。従来の阪神なら夏場まで熾烈な優勝争いを演じていても、秋に差しかかったころに失速して、そのまま優勝戦線から脱落するパターンが多かったが、今季はなかなか完落ちにならない。一時、首位ヤクルトに3ゲーム差をつけられたものの、この最終盤になって、引き分け2をはさんで4連勝だ。

 チーム状態は決して良くない。野手では近本光司が故障離脱し、大山悠輔も故障がち。前半戦に大活躍したサンズは失速し、マルテもこのところパッとしない。投げては西勇輝が不調を脱しないまま故障離脱。戦力という意味では今季最悪だ。

 しかし、それでも粘っている。なかなか負けないし、ひとつ負けてもそれが続かない。西勇の穴は青柳晃洋秋山拓巳、ガンケル、伊藤将司、そしてガラスの大器・高橋遥人あたりが、埋めて余りあるほどの活躍を見せてくれている。打線の破壊力ではヤクルトに劣るものの、ここにきて阪神の良い伝統である投手力を駆使して、ギリギリの戦いをしのいでいる。

 思えば前半戦は阪神にしては珍しく打線の破壊力があり、そのころの貯金のおかげで1985年以来の20本塁打カルテットの誕生が話題になったこともあったが、やっぱり阪神は甲子園球場というピッチャーズパークを本拠地にした、投手力のチームであると再認識させられた。先の日曜の広島戦では、ようやく怪物ルーキー・佐藤輝明に24号ホームランが出たが、それでも勘違いしてはいけない。同試合を勝利に導いたのは、今季ずっと安定した活躍を続けているルーキー左腕・伊藤将司のピッチングだ。

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