スピードスケート高木美帆「独立」の背景と“チームMT”結成が及ぼす深刻影響

公開日: 更新日:

 前代未聞の決断だった。

 16日、スピードスケートの高木美帆(28=日体大職員)がナショナルチーム(NT)から離脱することを発表した。今年2月の北京冬季五輪で、女子1000メートルの金を含む4個のメダルを獲得。その北京五輪を最後にNTのヘッドコーチを退いたヨハン・デビット氏(42)と新チームを結成するという。

 いわばNTならぬMT、「チーム美帆」と言ったところ。

「NTが発足して8年、ずっと活動させていただきましたが、ひとつ私の中で北京が終わり、また1歩外に出てもいいのかなと」と語った大エースは前例のないスタイルを選択した。

 8年前の14年ソチ五輪でメダルゼロに終わると、スケート協会は所属企業の枠を超えたNTを発足。スピードスケートの強豪国であるオランダからヨハン氏を招聘した。その成果は18年平昌五輪で発揮され、金3個を含むメダル6個を獲得。NTの強化体制の成功を証明していた。

 その一方で、スケート部を抱える実業団の衰退が加速。日本代表クラスに押し上げるまでが実業団の役目となり、企業がチームを持ち続ける意味を失いつつある。今年3月には、高木美の姉である高木菜那(29)が所属していた名門「日本電産サンキョー」は廃部に追い込まれたばかりだ。高木美が独立した背景には、実業団の地盤沈下への懸念があるのかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    すい臓がんの治療が成功しやすい条件…2年前に公表の日テレ菅谷大介アナは箱根旅行

  3. 3

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み

  4. 4

    高市首相「午前3時出勤」は日米“大はしゃぎ”会談の自業自得…維新吉村代表「野党の質問通告遅い」はフェイク

  5. 5

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  1. 6

    「戦隊ヒロイン」ゴジュウユニコーン役の今森茉耶 不倫騒動&未成年飲酒で人気シリーズ終了にミソ

  2. 7

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  3. 8

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 9

    志茂田景樹さんは「要介護5」の車イス生活に…施設は合わず、自宅で前向きな日々

  5. 10

    NHK大河「べらぼう」に最後まで東洲斎写楽が登場しないナゼ?