森保監督の生みの親・今西和男氏「彼は今の時代に合っている指導者」

公開日: 更新日:

今西和男(サンフレッチェ広島 元GM/総監督=81歳)

「ワシは(JR)広島駅から15分ほどのところに住んどるけぇ、ほうじゃのぅ~、駅の近くで会いましょうか」。御年81歳の<森保ジャパンの生みの親>今西和男氏(81)は「自転車をこいで来ました」と言いながら、待ち合わせたホテルのロビーに約束の時間ピッタリに現れた。22日のルヴァン杯決勝を制したJ1サンフレッチェ広島の敏腕GM時代の威圧感は薄れたが、難業に立ち向かう息子の身を案じる親のような優しいまなざしで日本代表・森保一監督(54)との出会いから語り始めた──。

 ◇  ◇  ◇

 ──森保監督との最初の出会いは?

 長崎日大高・下田監督の年賀状に「ぜひプレーを見てもらいたい選手がいます」と書いてあったんじゃ。マツダの(オランダ人)コーチのオフト(1992年3月に日本代表監督に就任)と長崎に出向いた。体つきもまだまだだし、別段上手なわけでもない。スピードもなかった。オフトは平凡な選手と判断して興味を示さんかった。でも「視野が広くて先の先の先の3手先まで読んでパスが出せる」と思うた。危機察知能力もあった。それから一人で何度か森保を見に行き、高3の夏休みに「控えチームの愛媛合宿に参加しんさい」と通知を出した。そこで面談をすると大人と向き合って会話を続けても集中力が途切れない。「こりゃ伸びしろがあるわい」と採用することに決めたんじゃ。

■マツダ本社枠から外れて子会社採用

 ──ところが、マツダの本社採用予定枠6人が5人に減り、6番目の評価だった森保監督のマツダ入りは宙に浮いてしまった。

 約束した限り、取り消すわけにはいかん。子会社のマツダ運輸の社長がマツダのサッカー部の部長だったし、入社させてもらってサッカー部に登録することにした。「いつかマツダの本社採用に切り替える。子会社採用でもいいか?」と連絡をした。森保は「それでもいいです。ずっとサッカーを続けたいです」と言うてくれたんじゃ。

 ──本社採用の同期とは給与など待遇面で差があり、中国リーグに所属するBチーム「マツダSC東洋」で練習する日々。ふてくされてもおかしくない。

 普通はひがんだりするもの。でも、森保は不満をひと言も口にしなかった。前向きにサッカーに取り組み、1年でマツダの本社採用に切り替わった。2年間は試合に出られんかったが、入社3年目になってようやく日本リーグで公式戦にデビューした。

 ──マツダの監督だったオフトが退任するときに「いずれ前川(和也=54歳。元日本代表GK)、横内(昭展=54歳。現日本代表コーチ)、森保の3人は指導者になるだろう」と言い残した。

 本当にその通りになったのぅ~。森保は、1学年上のヨコ(横内)とウマが合った。広島駅近くにあった一軒家の独身寮で2人が一緒にいる光景を覚えとるよ。試合でも息の合ったプレーを見せてくれた。左ボランチの森保と左のウインガーのヨコが連係しながらようけチャンスをつくってくれたもんよ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • サッカーのアクセスランキング

  1. 1

    森保Jは海外からどう見られているのか…W杯のライバル国、ブックメーカーによる意外な評価

  2. 2

    【オランダ】195cmCBファンダイクが大きな“壁”に…タレント勢揃いで「地盤沈下」は今や昔

  3. 3

    FIFA会長がトランプ大統領に贈った「平和賞」は両者の癒着の象徴…元FIFA職員が史上最悪のW杯抽選会を一刀両断

  4. 4

    【チュニジア】アフリカ予選10戦無失点 堅守が光る「カルタゴの鷲」は日本が苦手とするチーム

  5. 5

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  1. 6

    【ポーランド&ウクライナ】1次リーグF組の最終枠は現時点で未定も「ウクライナが有力」と専門家

  2. 7

    Jリーグ得点ランク上位FWが日本代表入りできないワケ…「森保監督の確固たるポリシー」が背景に

  3. 8

    W杯組み合わせに森保監督「非常に厳しい」…GL初戦はオランダと激突、2位通過が現実ラインか

  4. 9

    W杯初16強の日韓大会で山本昌邦は「トルシエと選手とのフィルター役をこなした」

  5. 10

    元日本代表DF冨安健洋がアヤックスと契約合意報道…森保Jに朗報も「ガラスの肉体」の期待と不安

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった