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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

スポーツ界は「多様性」が叫ばれるが…テニス「男女同額賞金」という絵に描いた餅の実態

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 そもそも男子の賞金がデカ過ぎる。

 男子の賞金総額は、00年は6500万ドルだった。02年に6100万ドル、04年に5900万ドルと減少していたところ06年に持ち直し、09年に9600万ドルまで跳ね上がった。その後は文字通りのうなぎ上りで、今年は2億1790万ドルという天文学的数字をはじき出している。理由は明白だろう。

 フェデラーのウィンブルドン初優勝が03年で、05年にナダルが全仏、08年にジョコビッチが全豪初優勝と絶妙のバランスで続き、07年からトップ3にフェデラー、ナダル、ジョコビッチと並んだ。男子の賞金の上昇は史上最強とされる「3強時代」とぴたり合致するのだ。

 いま行われているインディアンウェルズも、04年のフェデラーから昨年まで18大会で3強による優勝が計13回、決勝に絡まなかったのは2度だけ。大会ディレクターが「女子は男子に便乗しているだけさ。私が女なら毎晩ひざまずいてフェデラーやナダルという贈り物を神様に感謝するね」と口を滑らせ、クビになった経緯がある。そのフェデラーが引退し、ナダルは故障が続き、ワクチン証明のないジョコビッチは入国不許可……。

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