大谷らの活躍で懸念される高校生の“直メジャー” 卒業と同時に米国行きはオススメできない
昨年、テレビの企画で侍ジャパンの栗山英樹監督と対談をして、その人柄に魅了された。「WBCは一戦必勝の短期決戦。高校野球から学びたい」とアマチュアの私を「短期決戦はどう戦うべきか?」などと質問攻めにする勉強熱心さに驚いた。「スペシャリストを入れるなら?」と聞かれたので「守備要員を使ってもそこへ飛ばない可能性があるが、足の場合は絶対」と答えたら「足の方が先なんですね」とうなずいていた。メンバーに絶対的な走力を持つ周東佑京(ソフトバンク)を入れ、メキシコとの準決勝の九回裏に村上宗隆(ヤクルト)の中越え打で、一塁から俊足を飛ばして長駆生還。逆転サヨナラ勝ちの走者となったのはうれしかった。
大会を通じて目立ったのは、大谷翔平、ダルビッシュ有、吉田正尚、ヌートバーのメジャーリーガーたち。準決勝以降の舞台は米国・マイアミでマーリンズの本拠地だった。優勝して気分が高揚したのだろう。巨人の戸郷翔征、大勢といった若手選手が堂々と「いずれはメジャーに行きたい」と宣言した。今オフにも山本由伸、今永昇太、松井裕樹らが挑戦するといわれている。
これは間違いなく高校球界にも波及する。トップ選手の大リーグ志向が身近になり、かつての大谷のように高校から直接、米国行きを模索する選手が増えることが予想されるのだ。