「強くなりたいのか」と殴られた…元横綱・柏戸が受けた理不尽と伊勢ケ浜部屋の対極

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ドラマ「サンクチュアリ-聖域-」のリアルなシーン

 私ものちに某部屋で、稽古後に一人残って黙々とすり足をする関取を見た他の関取から、「そんなに強くなりたいすかね」と耳打ちされ、嫌な思いがしたものだ。

 ネットフリックスで話題になったドラマ「サンクチュアリ-聖域-」でも、主人公に感化されて稽古に身を入れ始めた序二段力士が、一緒に主人公をいびっていた兄弟子にとがめられ、「俺だって強くなりたいんすよ」と言い返す場面があり、リアルだった。

 今の伊勢ケ浜部屋では、たぶん見られない光景だろう。これまでも稽古の厳しい部屋では、柏戸のような資質を持たない力士でも次々と関取になった。彼らの多くは「最初はやらされた稽古でも、結果が出ると自分からやるようになった」という。

 そうした部屋にするには、大変な苦労や淘汰があり、時代も違うが、現実にこうして結果が出る部屋があり、稽古が厳しくても強くなりたいという弟子が集まってくれば、「負の聖域」も自然に縮小していくことだろう。

▽若林哲治(わかばやし・てつじ)1959年生まれ。時事通信社で主に大相撲を担当。2008年から時事ドットコムでコラム「土俵百景」を連載中。

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