大谷翔平の突き抜けた“勝ちたい欲”がはらむ落とし穴…山本由伸「獲得して」進言も超異例

公開日: 更新日:

 本塁打王のタイトルを取っても、投打の二刀流でMVPを2度獲得しても、エンゼルス時代の6年間はプレーオフに出られないどころか、勝ち越すことすら一度も出来なかった。それだけに「ヒリヒリした9月を過ごしたい」大谷翔平(29=ドジャース)の勝利への欲求はハンパじゃない──。

 改めてそう感じさせた日本時間15日の入団会見だった。

 本人は「勝つことっていうのが僕にとっていま、いちばん大事なこと」とハッキリ言った。契約金総額の97%の後払いでオフの補強資金に余裕をもたせたのも、フロントの体制維持をオプトアウト(契約破棄)条項に加えたのもしかり。「ドジャースが経験したこの10年間を、彼らはまったく成功とは思っていない。それだけ勝ちたいという意思がみんな強いんだなというのは心に残った」とも話している。

■「契約自体も崩れる」

 が、大谷の勝ちたいという欲は、ちょっと突き抜けている。入団会見以前に山本由伸(25)との面談に同席したのも、とにかくチームが強くあって欲しいという強い願望から。スポニチの報道によれば、大谷は「ぜひ山本を獲得して欲しい」と球団に強く進言したそうだ。エンゼルス時代にはミナシアンGMに、オフの補強の進捗状況を何度も尋ねたという大谷らしい話ではあるものの、ひとりの選手がチーム編成に介入するのは異例のことだ。

 大谷はさらにウォルター・オーナーとフリードマン編成本部長のどちらかが退団した場合のオプトアウト条項に関してこう言った。

「ドジャースに入団すると同時に、メインのこのお二方(ウォルター・オーナーとフリードマン編成本部長)と契約するという形ですし、そこがもし崩れるのであれば、この契約自体も崩れることになる」

 山本の獲得を進言したかと思えば、入団の決め手となったドジャースの現体制が崩れれば、契約自体もチャラにするかもしれないという。本人が言うように、とにかく強いチームでプレーしたい。そのためには打順や選手起用にも口をはさみかねない勢いなのだ。

「ドジャースが大谷と契約したということは、極端な言い方をすれば彼のチームになるのを受け入れたということ。大谷が投打に優れた選手なのは疑いようがないし、結果も残すでしょうけど、二刀流という特殊な選手だけにチームがうまく機能するとは限りません」と、メジャーに詳しいスポーツライターの友成那智氏がこう続ける。

「大谷は来季、DHに専念して毎試合出場するでしょう。そうなると一塁手のフリーマン、三塁手のマンシー、捕手のウィル・スミスらの主力が休息に使っていた指名打者の枠がふさがってしまうのです。投手としての復帰が見込まれる再来年は、さらなる問題が出てきます。原則中5日で先発する大谷中心のローテを組めば、中4日がベストの投手にとってマイナスになる。特に一線級の投手ほど中4日を好む傾向があるだけに、今後の補強にも影響しますよ。大谷のチームだけに本人は間違いなく結果を残すでしょうが、他の選手にしわ寄せがいくようなら勝利に結び付かない可能性も出てきます」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    広島ドラ2九里亜蓮 金髪「特攻隊長」を更生させた祖母の愛

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  3. 8

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  4. 9

    田中将大ほぼ“セルフ戦力外”で独立リーグが虎視眈々!素行不良選手を受け入れる懐、NPB復帰の環境も万全

  5. 10

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?