著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

五輪とは何かを改めて訴えた本家フランスならではの独創性 メダルの数を叫ぶのは時代遅れに

公開日: 更新日:

 オリンピックが佳境に入っている。

 時差は7時間。午前2時からの開会セレモニーを結局、朝6時まで見てしまった。

 スタジアムを離れ、セーヌ川とエッフェル塔を舞台にした独創的な演出はフランスならではで、五輪旗を逆さに掲揚したのもパロディーかと思ったほど自由自在だった。近代五輪を発想・提唱したクーベルタンはフランス人だ。五輪は自分たちの祭典……心理学でいう基本的信頼、明確な主張があった。

 ジダンからナダルへ手渡された聖火がセーヌを渡ると、テニスのアメリ・モレスモがいた。全豪、ウィンブルドンで優勝し、現在は花の都の最大のイベント・全仏オープンの責任者……フランスで最も成功した女性アスリートは同性愛者として知られ、ジェンダーフリー、多様性というパリ大会のテーマが打ち出された。

 オリンピックは世界一を決める場ではない。そこが世界選手権と違って、世界が同時代性を確認・擦り合わせる機会であり、競技は普遍的な媒体だ。クーベルタンの言葉通り「参加すること」に意義があり、勝利を目指しつつも、すべてではない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  2. 2

    巨人・桑田二軍監督の電撃退団は“事実上のクビ”…真相は「優勝したのに国際部への異動を打診されていた」

  3. 3

    クマ駆除を1カ月以上拒否…地元猟友会を激怒させた北海道積丹町議会副議長の「トンデモ発言」

  4. 4

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  5. 5

    クマ駆除の過酷な実態…運搬や解体もハンター任せ、重すぎる負担で現場疲弊、秋田県は自衛隊に支援要請

  1. 6

    露天風呂清掃中の男性を襲ったのは人間の味を覚えた“人食いクマ”…10月だけで6人犠牲、災害級の緊急事態

  2. 7

    高市自民が維新の“連立離脱”封じ…政策進捗管理「与党実務者協議体」設置のウラと本音

  3. 8

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 9

    恥辱まみれの高市外交… 「ノーベル平和賞推薦」でのトランプ媚びはアベ手法そのもの

  5. 10

    引退の巨人・長野久義 悪評ゼロの「気配り伝説」…驚きの証言が球界関係者から続々