【スポーツ科学で読み解く二刀流】投手・大谷 手術明けの今季は「スイーパー」の使い方がポイントに

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フォームをショートアームに変えるメリット

 ──中でも、得意球であるスイーパーの使い方がポイントになりそうだ。

「23年の各球種の投球割合は、スイーパーが35%でもっとも多い(直球は33%)。横変化量がマイナス40センチ、縦変化量が9センチ。浮き上がるような軌道をしていました。ただ、スイーパーは肘へのストレスが高い、という議論もあります。代わりにカットボールやカーブが割合として増えていく可能性はあります。スイーパーは曲げたいという意識もあって、とくに右打者に対してリリースポイントが下がる傾向があり、打者の左右で投げる割合やフォームが変わる。カットボールは比較的、同じ場所に同じように投げ続けることが求められますので、シンプルといえばシンプル。スイーパーを投げないことで、安定したフォームで投げることができ、肘への負担が減ると考えられます」

 ──フォームをショートアームに変えるメリットは。

「肘がどう壊れるのか、ということは多くの研究者によって30年ほど前から研究されていますが、まだはっきりとしたことがわかっていません。ただ、肩の関節を内旋するように回転を与えると、肘へのストレスも大きくなります。ですから、これを回避するためにショートアームにすることはあると思います。ただ、これは昨年のMLBのウインターミーティングでも発表しましたが、肩関節の最大外旋付近だけでなく、ボールのリリース直後にも肘へのストレスが大きくなると考えています。投手はボールに回転をかけるため、ボールが抜けないようにしっかり握ります。それがリリースの瞬間にポンと外れる。外れたときに手が加速するため、その加速を抑えるために肘へ大きなストレスがかかる。実際、リリースの直後に肘を痛めた、という投手は結構います。その意味では、リリース時のストレスをどう軽減するのか、大谷選手やドジャースがどう取り組んでいるのか、気になるところです」

 ──大谷は18年に1度目の右肘手術。20年7月26日に投手復帰したが、8月2日の2度目の登板後に右肘付近の屈筋回内筋痛で離脱。復帰初年度は痛みが出やすいともいわれる。

「ケガをしないようにフォームを修正すると、それが体に馴染むまでに時間を要するケースはある。ショートアームにすると、後ろへの動きが小さくなり、トップの位置が浅くなるため、感覚のズレが生じることは大いにあると思います。ただ、そのフォーム修正も本当に自分に合っているのか、実際に投げてみないとわからないというところも、難しいといえます」

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