所属先が突然の活動休止…体操金メダリストの兄と28年ロス五輪目指す弟が苦難を激白

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「私達は『生え抜き』の選手だったんですが…」

 ーー今回、練習拠点を追われるというまさかの事態に見舞われたわけですが、今の日本体操界をどう見ていますか。

凌平 競技成績としては申し分ないと思っています。オリンピック個人総合の金メダリストが2人(橋本大輝岡慎之助)いるわけですから。あとは体操に専念させてくれる企業がもっと増えたらいいなと思っています。橋本選手が「ダブル所属」という形で、日本生命のスポンサーをつけながら練習拠点はセントラルで行うやり方を実現した。そういったプロ化の流れができれば、もっと選択肢が広がって体操を周知してもらえると思います。

 ーー「ダブル所属」は異例なことですか。

凌平 異例ですね。どちらの企業もWINWINだったのでしょう。

裕斗 橋本選手はセントラルの選手として団体戦に出られるメリットがあるんです。航平さんのとき(※)は団体戦に出られなかったですから。

(※)16年にコナミスポーツを退社してプロ転向。17年に内村の地元企業だったリンガーハットと契約を結ぶ。

凌平 まさに私達が直面している練習場所問題が一番大きなポイント。橋本選手が(プロ転向の際)もしセントラルを辞めて日本生命所属になった場合、練習場所はどうするんだということになったでしょうし、航平さんがプロ化するときもコナミスポーツと(リンガーハットの)ダブル所属になればコナミスポーツで練習を続けられたけど、「プロだからコナミスポーツでの練習はダメ」となってしまった。お互いが歩み寄っていただけるような企業が増えてくればもっと体操界全体が良くなると思います。

 ーー聞いていると、コナミスポーツは結構シビアな雰囲気がありますね。

凌平 小さい頃からお世話になっていますし、私達は「生え抜き」の選手だったんですが…。

裕斗 支援の打ち切りは仕方ないと僕らも納得はしている。ただ、応援する気持ちだけでも残しておいてほしい。そういう意味で、体育館の使用を許可してもらえたらなと思います。

(聞き手=中西悠子/日刊ゲンダイ

▽かとう・りょうへい 1993年9月9日、埼玉県草加市出身。9歳で体操を始める。順天堂大1年のとき、12年ロンドン五輪で男子団体総合で銀メダル獲得に貢献。16年リオ五輪でも同種目で金メダルを獲得した。昨年8月に現役引退を発表。父は北京、ロンドン、リオの五輪3大会で日本代表コーチなどを務めた加藤裕之氏。

▽かとう・ゆうと 1997年4月4日、埼玉県草加市出身。169センチ、58キロ。兄の影響で6歳から体操を始める。埼玉栄高校3年のとき、インターハイで個人総合優勝。その後、順大、コナミと兄と同じ進路で体操を続ける。

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