「甲子園球児のここを見る」…大谷やダル獲得に携わった元日本ハムGM山田正雄スカウト顧問が徹底解説
「開会式の入場行進は非常に参考になる」
──野手は肩と足が重要とおっしゃってますよね。
「足の速さ、強さは重要です。バッティングも下半身主導で打つわけですから、足が強いのはよくなる可能性があるということです。肩が弱かったらDH以外、試合に出るチャンスは少ないですから。それと高校生に必要なのは体の強さです。プロの練習に耐えられるような強さがないと、やっていけませんから。体の強さはやっぱり体形を見ます。僕が注意して見ているのは姿勢です。姿勢の良い人は背筋も強いし、体も丈夫だと思う。姿勢がいいから体のバランスもいいし。ですから甲子園の開会式の入場行進などは、ものすごく参考になります。バッティングのスイングスピードが速いとか遅いとかいいますけど、スイングスピードはウエートで体を鍛えることで上がりますから」
──守備はどんな点に注目しますか。
「大切なのはスローイングですよね。スローイングの形が悪いと、暴投の確率も上がります。緊張したり、足を使って投げることができないと、タイミングが合ったときは良くても、投げ方が悪いと慌てて投げたときにミスをしがちです」
──甲子園では試合前のノックも重要とか。
「特に何回も選手を見るチャンスのある担当スカウトは、わざわざ試合前のノックを見る必要もないかもしれませんが、1、2回見て判断するクロスチェックの場合はものすごく大切です。守備の動きとか、グラブさばきとか、肩の強さはわかりますからね。ただ、難しいのは例えばサードをやっていて、これじゃサードは難しいなで終わってしまうと、そこでその選手をふるいにかけてしまうことになる。サードはダメだけど、ファーストだったら守れるかもしれないし、外野にもっていったらどうかというところまでは考えた方がいいと思う。それから攻守交代時の走り方、ひたむきに自分のポジションに向かっているかどうか。打撃の調子が悪いと、つい気を抜いて走るとか、9イニング見ていれば、甲子園といえどもどこかで地がポロッと出たりすることがありますから」
▽山田正雄(やまだ・まさお) 1944年9月6日、東京都出身。明治大学付属明治高校から62年、大毎オリオンズ(現ロッテ)に外野手として入団。投手に転向した経験もある。86年、日本ハムにスカウトとして入団。2007年から14年までGM、現在はスカウト顧問を務める。ダルビッシュ、中田、大谷らのドラフト指名、獲得にかかわった。