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武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

大坂なおみは「日本人ファースト」をどう思うのか

公開日: 更新日:

 今月、大阪で開催の木下グループジャパンオープンに出場し3回戦をケガで棄権、翌週の東レPPOも欠場した。

 ツアーは年末のトップ8によるファイナル(11月1日~)を目指すポイント争奪戦だ。各大会は格付けされ、PPOは2番目の500、ジャパンオープンは250だが、大坂は格上のPPOへの出場意思をなかなか示さなかった。大会から打診がなかったという。

 東レPPOは今年が第40回という世界屈指の長寿大会だ。かつてナブラチロワ、グラフ、ヒンギス、シャラポワらトップの熱戦に沸いたが、今世紀に入り潮目が変わった。大会争奪戦が進んでPPOの持つ上位5大会の特権が中国に移動。人気=市場競争の激化で仕組みはさらに動き、PPOはツアー日程の本流からそれて選手の動機が剥がれていった。

 今回も大物たちはファイナル出場が決まるや続々と欠場を表明し、最後に残ったルバキナも準々決勝でポイントを満たして棄権……仕方がない。市場原理である。

 テニスに限らず、日本のスポーツは世界の動きに対応せぬまま40年前、プロ化以前のマニュアルを引きずっているが、海外には人気選手の魅力を引き出す大会もある。金ではない。ツアーを熟知した経験とアイデアを持ったディレクターが、日本には一人もいないのだ。

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