「よく考えろよ」
このときは残ってくれとは言われなかったが、熱い言葉は心に刻まれていた。
4日後の7日に、中日との3回目の交渉。そしてその2日後の9日に、名古屋市内のホテルで横浜とのテーブルについた。提示された条件は「3年総額5億円」。俺が希望した金額だった。
「うちのチームにどうしても必要な選手だと思っている。家族のことも含めて、何も心配しなくていい。全面的にバックアップさせてほしい」
当時の大堀隆球団社長の熱い言葉に心を打たれ、その場で「お世話になります。家族の了承ももらっています」と答えた。
が、その言葉とは裏腹に、実は引っかかることがあった。