W杯の大団円に思う“アイデアの壁” 「百年構想」から33年…地場=ホームは道半ば
Jリーグ発足を機に、私はサッカーの取材から遠ざかった。それまでテニスやマラソンを追いかけていた自分には「百年構想」を打ち出して地場スポーツを目指す新たな流れは追えないと考えた。90年代後半に、マラソンでフィス、アントンといったスペイン勢が活躍した時期がある。顔見知りの選手代理人にこう言われたことがある。
「日本のサッカーは強くなった。ただ、アイデア(目的)が違うんだよ」
どういう意味か分からなかった。いまも十分理解できているとは思わないが、米国のスポーツライターが書いたエピソードを思い出す。
父親が初めて球場に連れて行ってくれた幼少期の話で、見るものすべてに興奮したという。ふと、父親がグラウンドに目をやりながら黙々とピーナツを口に放り込んでいるのに気付いた。それを見て思った──。スタジアムはピーナツの殻を捨ててもいい所なんだ。
W杯になると、決まって試合後の日本人サポーターの場内清掃が話題になる。それは私たちの美徳だが、ある人にとって、スタジアムはそんな日常を忘れる空間かも知れない──アイデアはそれぞれ違う。


















