「多肉植物図鑑」松山美紗著
■多肉植物の美しくも不思議な世界に心奪われる
原産地の降雨量の少なさに対応するため、水を体内に蓄えようと進化した結果、独特のフォルムを得た多肉植物の美しく、そして不思議な世界を案内してくれるカラー図鑑。
肉厚のぷっくりとした葉を持つ代表が「セダム」。セダムの中にもさまざまな種類があり、「乙女心」の和名を持つ「セダム・パキフィルム」は、紅葉時に葉先だけがピンク色に染まり何とも初々しい。そう、多肉植物も紅葉するのだ(しない種類もあるそうだが)。
一方の「ハオルシア」類は、強い日差しがある原産地ではそのほとんどが砂に埋もれ、唯一、外に出ている葉先がレンズに進化して光を取り込んでいるという。葉の一枚一枚がしずくのようにぷっくりとした質感をもつ「しずく石」は、とりわけ葉先のレンズの透明感が美しい。
2枚の葉がひとつになって丸くなった「リトープス」類にいたっては、ひとつの個体から分かれて繁殖するという、植物らしからぬ生態まで見せてくれる。
その他、つるに丸い葉が規則的に並ぶ「グリーンネックレス」など、ひとつひとつが繊細にデザインされたかのような完璧なフォルムを持ち、見る人を魅了する。