「人身売買・奴隷・拉致の日本史」渡邊大門著

公開日: 更新日:

■「戦国時代には、農民も生活のため合戦に参加し人や物資を奪って生きてきました」

「戦国時代というと、信長や秀吉など有名な武将にスポットが当てられがちですが、その時代の庶民の暮らしがいかに過酷だったかという、生々しい日本の裏面史も知っていただきたいと思ってこの本を書きました」

 戦国時代の合戦には、農民たちが雑兵として駆り出されたが、実は、農民自身もすすんで合戦に参加していたことがわかってきた。

 当時の主産業である農業や漁業はひとたび自然災害に見舞われると収穫量がガタ落ちになり、人々は飢えに苦しんだ。寛喜2(1230)年の大飢饉(ききん)では人口の3分の1が失われたという。

 そのため、農民たちは生きるために生死をかけて戦争にも参加したのである。戦場では食料、馬、刀など略奪(乱取り)した物資を自分のものにするのが当たり前で、褒賞ほしさに敵の頭や鼻を切り取って数を競った。そのさまは江戸時代初期に集成された甲斐の国の大名武田氏の軍書「甲陽軍鑑」などにも生々しく描かれている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  2. 7

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  3. 8

    清原果耶は“格上げ女優”の本領発揮ならず…「初恋DOGs」で浮き彫りになったミスキャスト

  4. 9

    選管議論で総裁選前倒しでも「石破おろし」ならず? 自民党内に漂い始めた“厭戦ムード”の謎解き

  5. 10

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます