「人身売買・奴隷・拉致の日本史」渡邊大門著

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 さらに衝撃的な事実は「乱取り」の対象が物資だけでなく「人」も対象だったことである。武田氏に残された史料「妙法寺記」には、天文5(1536)年に武田信虎の軍勢が攻め込み、「足弱」(女性、子供、老人)を100人ばかり奪っていったと記されている。
「乱取りしてきた人間のことは、どう使おうが勝手。男は肉体労働、女は家事労働や性的対象とされ、子供が生まれたら、それも奴隷にしても、自由に売ってもいいわけです。人身売買は一応禁止されていましたが、それは建前ですね」

■日本にも戦国時代まで「奴隷」がいた!

 日本にも人身売買の市場が存在し、奴隷がいたのだ。そして、奴隷たちのある者は日本の人買い商人やポルトガル商人によって、東南アジアやヨーロッパ、南米にまで売り飛ばされ、日本人奴隷はまさに世界を駆け巡ったのである。
「相当な数の日本人が自ら志願して『自分を売って』奴隷となり海外に渡っています。日本人は好戦的で戦いの能力にたけた優秀な傭兵(ようへい)として、東南アジアにおけるヨーロッパ列強の戦争では、貴重な戦力だという記述が歴史書にあります」

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