「人身売買・奴隷・拉致の日本史」渡邊大門著

公開日: 更新日:

 さらに衝撃的な事実は「乱取り」の対象が物資だけでなく「人」も対象だったことである。武田氏に残された史料「妙法寺記」には、天文5(1536)年に武田信虎の軍勢が攻め込み、「足弱」(女性、子供、老人)を100人ばかり奪っていったと記されている。
「乱取りしてきた人間のことは、どう使おうが勝手。男は肉体労働、女は家事労働や性的対象とされ、子供が生まれたら、それも奴隷にしても、自由に売ってもいいわけです。人身売買は一応禁止されていましたが、それは建前ですね」

■日本にも戦国時代まで「奴隷」がいた!

 日本にも人身売買の市場が存在し、奴隷がいたのだ。そして、奴隷たちのある者は日本の人買い商人やポルトガル商人によって、東南アジアやヨーロッパ、南米にまで売り飛ばされ、日本人奴隷はまさに世界を駆け巡ったのである。
「相当な数の日本人が自ら志願して『自分を売って』奴隷となり海外に渡っています。日本人は好戦的で戦いの能力にたけた優秀な傭兵(ようへい)として、東南アジアにおけるヨーロッパ列強の戦争では、貴重な戦力だという記述が歴史書にあります」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    参政党・神谷宗幣代表の「質問主意書」がヤバすぎる! トンデモ陰謀論どっぷり7項目に政府も困惑?

  2. 2

    7代目になってもカネのうまみがない山口組

  3. 3

    福山雅治のフジ「不適切会合」出席が発覚! “男性有力出演者”疑惑浮上もスルーされ続けていたワケ

  4. 4

    松井秀喜氏タジタジ、岡本和真も困惑…長嶋茂雄さん追悼試合のウラで巨人重鎮OBが“異例の要請”

  5. 5

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  1. 6

    フジテレビ「不適切会合」出席の福山雅治が連発した下ネタとそのルーツ…引退した中居正広氏とは“同根”

  2. 7

    打者にとって藤浪晋太郎ほど嫌な投手はいない。本人はもちろん、ベンチがそう割り切れるか

  3. 8

    清原果耶は“格上げ女優”の本領発揮ならず…「初恋DOGs」で浮き彫りになったミスキャスト

  4. 9

    選管議論で総裁選前倒しでも「石破おろし」ならず? 自民党内に漂い始めた“厭戦ムード”の謎解き

  5. 10

    収束不可能な「広陵事件」の大炎上には正直、苛立ちに近い感情さえ覚えます