「山手線に新駅ができる本当の理由」市川宏雄著

公開日: 更新日:

 一昨年、新聞に「山手線に40年ぶりの新駅」という見出しが躍った。品川―田町間は2・2キロと山手線内で最長の駅間距離。そこに新駅を建設するというのだ。予定地は品川・田町のほぼ真ん中で、現在の地下鉄・泉岳寺駅のすぐそば。ここに新駅ができると何が変わるか。

 第1は東海道新幹線停車駅の品川駅地区が一気に大規模繁華街になる可能性。羽田空港も近いため国際ビジネスや観光面も期待できる。また次世代新幹線のリニア新幹線の発着駅になる可能性があり、海側の広大な開発用地はウオーターフロントの魅力にあふれたフロンティアだ。用地はもともとJRの車両基地で、山手線・京浜東北線の線路を東海道本線そばに200メートル移設するなどという離れ業も自分の土地だからできる話なのだ。

 公共政策の専門家である著者によれば東京はもともと多極都市。江戸時代は吉原遊郭に対して非公認の「四宿」(品川・板橋・千住・内藤新宿)の岡場所が栄えていた。これが現代では数キロずつずれて渋谷、池袋、上野、新宿になっているという。経済効果という皮算用に胸躍らせる代表的論考。

(KADOKAWA 740円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する