「下中彌三郎」中島岳志著

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 下中彌三郎は平凡社の創業者で、「万人に教育を」との思いから日本初の大百科事典を刊行した人である。だが、その人物像は出版人の枠を大きくはみ出している。

 熱烈な愛国者で全人類愛者。子ども至上主義、女性礼賛、天皇主義、労働運動、農本主義と主義主張は大きく振れ、目まぐるしく変化する。戦前・戦中は天皇による「無私の独裁」を説き、「一君万民」のコミューンを夢想した。戦後は一転、急進的な平和主義者となり、日本における世界連邦運動を主導した。時代の流れの中でさまざまな思想、運動に飛びつき、「遊動円木」のあだ名をつけられるほどブレ続けた。

 平凡社創業100周年を記念して下中の伝記執筆を依頼された著者は、大量に残された下中の論考を読み解いて、極端に揺れる主義主張の中に一貫性を見いだそうとする。

 右派、左派の枠組みでは捉えられない下中の「思想巡礼」の根には、幼少期からの貧苦の経験があると著者は見る。

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