「鬼忘島」江上剛著

公開日: 更新日:

 ある日、ジャパン・イノベーション・バンク(JIB)の金庫番・国仲真一専務が失踪した。妻子と別れてひとり暮らしをしていたアパートの一室から、こつ然と姿を消したのだ。

 同社の坂巻健史会長との不仲説もささやかれる中、消されたのではないかという噂も流れていたが、国仲は会社の極秘情報が入ったUSBを手に、紙一重のところで沖縄の離島・鬼忘島へ飛んでいた。秘密の漏洩を恐れる坂巻と、坂巻を操っている暴力団は、国仲の命を狙って島へとやってくる。

 一方、JIBの怪しい動きを察知した金融庁の捜査官・伊地知耕介も島へと向かう。穏やかな南の島を舞台に、男たちの死闘が始まった……。

 金融の世界にうごめく裏社会と、その泥沼の中でも銀行の使命を果たしたいと願う男の闘いを描いた金融サスペンス。一度マネーロンダリングに手を染めてしまった男が、島の人々との魂を揺さぶる交流がきっかけで、家族への愛を支えにして正義に生きようとする姿に、手に汗を握る。(新潮社1600円+税)


【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択