お仕事漫画編
「とろける鉄工所」野村宗弘著
町の小さな鉄工所が舞台の本作は、漫画家を目指しながら溶接工として働いてきた著者の実体験をもとに描かれている。鉄の溶ける温度はおよそ1550度で、溶接の中心部分は太陽の表面温度ぐらいあるという。そんな場所で作業を行う溶接工にはケガがつきもの。やけどは日常茶飯事だが、花粉症でもないのに常に涙を流している人がいたら、それは溶接工だという。なぜなら、溶接の光にやられて目玉が焼け、激痛で涙が止まらなくなるためというから恐ろしい。
溶接工の妻“あるある”では、洗濯機に鉄粉がたまって壊れやすいのが悩み。溶接作業中は溶けた鉄が火花のように飛び散り、作業着に付着して固まるためだ。日本のものづくりを支える溶接工の仕事の過酷さに頭が下がる。(講談社 580円+税)