俺の時代はまだ終わっていない

公開日: 更新日:

「ウサイン・ボルト自伝」ウサイン・ボルト著、生島淳訳

 ジャマイカのトレローニーは、緑ゆたかな農村地帯。この地に生まれたウサインは、幼いころからエネルギーに満ちあふれ、1秒たりともじっとしていないヤンチャ坊主だった。野生林を遊び場にのびのび育った少年は、どのようにして「世界最速の男」になったのか。ウサイン・ボルト自身が、その半生を開けっ広げに語っている。

 ジャマイカは陸上が盛んな国だが、自分から陸上選手を目指したわけではない。クリケットに夢中だった小学生のウサインにスプリンターの素質を見いだしたのは学校の先生だった。先生の目に狂いはなかった。自国のレースで頭角を現し、15歳で世界ジュニア選手権200メートルの王者になった。

 ところが、ウサインは練習嫌い。コーチは厳し過ぎるとこぼし、練習をサボってはゲーセンに入り浸る。高校では学業成績が振るわず、留年寸前。それでもレースには勝ち続け、活躍の場を世界に広げていく。天賦の才に加えて「負ける自分が金輪際許せない」という負けず嫌いがウサインを強くした。脊椎側弯症と診断され、しばらくレースから遠ざかったが、コーチや医師の支えもあって、自分の肉体と向き合い、スプリンターとして目覚めていく。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋