「記憶の森を育てる」茂木健一郎著

公開日: 更新日:

 人間の脳の「記憶」がコンピューターの「メモリー」と異なるのは、それが想起されたときにいきいきとした「経験」を呼び覚ますという点である。著者は大学院生だった頃、小津安二郎の「東京物語」を見て、その舞台である尾道に行きたくてたまらなくなり、尾道に向かった。我々は「時に、自分の生を縛っている動かしがたいもの、避けられない運命の下層を確認したいという衝動にかられる」。その土地に行くことで、その風土とあいまった「記憶」が立ちあがる。尾道という地に立つことで、著者の「東京物語」を見るという行為は初めて完結したのだった。

 人間の記憶という不思議なものに向かい合う一冊。(集英社 1700円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網