宮城安総
著者のコラム一覧
宮城安総工作舎アートディレクター

1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。

“ありのまま”が凄い「海」のいきもの

公開日: 更新日:

「世界で一番美しい海のいきもの図鑑」吉野雄輔著、武田正倫監修

 5ミリのクラゲから50トンのクジラまで、美しくも不思議な命たちの競演。厳選写真375点を収載。多種多様な命に満ちた豊饒なる海の世界を堪能できるビジュアルブック(帯から)。

「絵にも描けない」のは竜宮城だが、こちらは「色と形態のバリエーション」に圧倒され、言葉が追いつかないほどだ。写真はすべて著者が撮影。数十倍に拡大された微小生物も細部までクッキリ。本書では被写体を際立たせるため、「青い海と黒い背景」をビジュアル・フォーマットとしている。「形/色/浮遊/顔/発生/戦略/擬態/華/群/棲む/営み/継ぐ/遭遇」の13章構成。特等席ともいうべき各章扉に、太陽の光だけで撮影した、青い海中写真を配置。時間や状況次第で「青い海」はさまざまな表情を見せる。

 一方、メーンの生物写真は、背景をすべて省略、黒バックとし、生物の色と形のみを浮かび上がらせる。「……ありのままの生物のすごさを見てもらいたいと思ったのです」とは著者の弁。水槽撮影や切り抜き画像ではない。章扉と同様、本物の海中で撮影されているため、諸条件により背景の「黒」の色合いが異なる。補正なしのままチリやゴミが写り込んでいるせいで、海の深度や奥行きがリアルに感じられる。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

  3. 3
    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

  4. 4
    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

  5. 5
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  1. 6
    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  2. 7
    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

  3. 8
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  4. 9
    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異