「民主主義をどうしますか。」山口二郎著

公開日: 更新日:

 民主主義の危機を訴える人々の声が高まっている。立憲主義の基本を理解しないまま、反対派や少数派の存在そのものを否定し、異を唱える言論に圧力を与える政権のやり方が、近年ますます目立つようになってきたからだ。本書は、民主主義の危機を憂い、安保法制反対全国一斉行動や立憲デモクラシーの会で問題提起を行う政治学者による評論集だ。

 安倍政権の暴走を止めるためには、「自民党ではない」という受け皿の党をつくるだけでは十分ではないと著者はいう。民主党が異質な要素を抱え込みすぎて自壊したことや、脱原発を掲げる勢力が社民党やみどりの風、みどりの党に分裂して有能な政治家が敗退したことを顧みても、ただの受け皿づくりも結果度外視の弁論大会も現実的な力にはならず、この中間にあるのが政治のリアリズムであると著者は訴える。

 選挙やメディアのあり方、野党の課題、市民に必要な政治的態度など、民主主義の根本に関わる題材に真摯に迫っている。(七つ森書館 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・大山悠輔「5年20億円」超破格厚遇が招く不幸…これで活躍できなきゃ孤立無援の崖っぷち

  2. 2

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  3. 3

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  4. 4

    W杯最終予選で「一強」状態 森保ジャパン1月アジア杯ベスト8敗退からナニが変わったのか?

  5. 5

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  1. 6

    指が変形する「へバーデン結節」は最新治療で進行を食い止める

  2. 7

    ジョン・レノン(5)ジョンを意識した出で立ちで沢田研二を取材すると「どっちが芸能人?」と会員限定記事

  3. 8

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 9

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  5. 10

    「踊る大捜査線」12年ぶり新作映画に「Dr.コトー診療所」の悲劇再来の予感…《ジャニタレやめて》の声も