「民主主義をどうしますか。」山口二郎著

公開日: 更新日:

 民主主義の危機を訴える人々の声が高まっている。立憲主義の基本を理解しないまま、反対派や少数派の存在そのものを否定し、異を唱える言論に圧力を与える政権のやり方が、近年ますます目立つようになってきたからだ。本書は、民主主義の危機を憂い、安保法制反対全国一斉行動や立憲デモクラシーの会で問題提起を行う政治学者による評論集だ。

 安倍政権の暴走を止めるためには、「自民党ではない」という受け皿の党をつくるだけでは十分ではないと著者はいう。民主党が異質な要素を抱え込みすぎて自壊したことや、脱原発を掲げる勢力が社民党やみどりの風、みどりの党に分裂して有能な政治家が敗退したことを顧みても、ただの受け皿づくりも結果度外視の弁論大会も現実的な力にはならず、この中間にあるのが政治のリアリズムであると著者は訴える。

 選挙やメディアのあり方、野党の課題、市民に必要な政治的態度など、民主主義の根本に関わる題材に真摯に迫っている。(七つ森書館 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小泉進次郎「無知発言」連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?

  2. 2

    クビ寸前フィリーズ3A青柳晃洋に手を差し伸べそうな国内2球団…今季年俸1000万円と格安

  3. 3

    高畑充希は「早大演劇研究会に入るため」逆算して“関西屈指の女子校”四天王寺中学に合格

  4. 4

    9日間の都議選で露呈した「国民民主党」「再生の道」の凋落ぶり…玉木vs石丸“代表負け比べ”の様相

  5. 5

    国分太一コンプラ違反で無期限活動休止の「余罪」…パワハラ+性加害まがいのセクハラも

  1. 6

    野球少年らに言いたい。ノックよりもキャッチボールに時間をかけよう、指導者は怒り方も研究して欲しい

  2. 7

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 8

    ドジャース大谷「二刀流復活」どころか「投打共倒れ」の危険…投手復帰から2試合8打席連続無安打の不穏

  4. 9

    28時間で150回以上…トカラ列島で頻発する地震は「南海トラフ」「カルデラ噴火」の予兆か?

  5. 10

    自転車の歩道通行に反則金…安全運転ならセーフなの? それともアウト?