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「未婚当然時代」にらさわあきこ著

 率直な意見を言っただけなのに横暴ととらえられ、気を使えばキモイと陰口を叩かれ。強さと優しさの加減が皆目わからない。そもそも男らしさとはいったい何なのか? 映画「男はつらいよ」の寅さんの背中に男のありようを学んできた世代は、価値観が大きく変わった今、どう振る舞えばいいのか。男たちが直面する、シビアな現状を踏まえた参考書を紹介しよう。

 2010年の国勢調査で、男の生涯未婚率は20.1%、女が10.6%だった。そして2015年。その数字はさらに増え、男は24.2%、女は14.9%に。2035年は未婚化がさらに進み、男3割、女2割が一生結婚しないという予測も出ている。人口の半分が未婚になると懸念もされているのだ。

 いずれマジョリティーになるかもしれない「未婚の人々」の本音と現状に迫ったのが、「未婚当然時代」(にらさわあきこ著、ポプラ社 780円+税)だ。著者は元NHKディレクター。結婚や婚活をテーマに、丁寧かつ血の通った取材と執筆を続けている。

 異業種交流会や勉強会に足しげく通う人や、男性優位の結婚相談所に不満を抱いている人、ネット婚活でうまくいかない人など、生の声を聞き出している。全体的には、積極的に活動する女たちの現状リポートが多い。同じ境遇の人と交流を広げながら、活発に貪欲に動いているのは女たちという印象だ。だが今回は、未婚男の特徴を端的にとらえた2章と8章に着目したい。

 2章に登場するのは、結婚相談所に登録している医師(36歳)。1年間で128人から申し込みがあったという。実際に会ったのは8人。ロングヘアに卵形の輪郭の美女ばかり。しかし、結婚には至っていない。

 選り好みと思われても仕方のない背景には「常に努力して、向上し続けてこそ得られる」上昇志向と競争社会の強迫観念があるのではないかと著者は推測する。ベストを探すうちに「頑張ればもっといい人に出会える」と思ってしまう。結果、機会が増えることで、本当に探しているものを見失っているのかもしれない、と。

 また、彼は親のために家を購入し、そこに妹家族も住んでいるという。著者は、実家回帰志向が結婚を阻む可能性も暗に指摘している。

 8章では「50歳の未婚オトコたち」約10人の本音に肉薄している。彼らの特徴は、35歳以下の女を求め、「子供がほしい」と気軽に口にする。過去5年以内に付き合った経験はほぼない。本来なら恋愛を繰り返すうちに、自分にちょうどいい相手を知っていくのだが、彼らはいつまでも理想と憧れを変えない。若い女を求めるのは生理的なものだけでなく「恋をしたい」表れだと著者は理解したそうだ。

 女たちは止まらない。男たちは動かない。この縮まらない温度差を嘆いても仕方がない。著者はさらに、結婚しない人の「絆」の築き方を模索していく。新しい人間関係づくりの場として、シェアハウスやゲストハウスの現在や、地方移住者に現状を取材し、まとめているのが非常に建設的だ。

 絆をつくるためのツールは揃っている。あとは、つながりたいと思うかどうか。

 男にも女にもそれぞれの課題は多々あるが、可能性も広がっているという。

「不自由な男たち」田中俊之、小島慶子著

 男性学の第一人者と、家族のために働く大黒柱タレントの対談本。男が声に出さない・出しにくい「息苦しさや不自由さ」を掘り下げて考察していく。そもそもなぜ男は正規雇用に縛られ、定年まで働き続けることを選ぶのか。現代日本で男性に求められているものが強迫意識ではないかというところから対談は始まる。「男は損・女は得」といった単純な比較論ではない。社会や親の押し付けが、男を競争に駆り立て、「選べない・選ばない」ように仕向けてきたとも指摘。田中氏は「常識」に異を唱え、夫が専業主夫となり、自分が大黒柱になって「男のしんどさ」を痛感した小島氏は、辛辣かつ建設的に問題に斬り込む。現代日本の空気感と価値観に疑問を感じている人に。(祥伝社 820円+税)

「生涯男性現役」岩本麻奈著

 日本では耳慣れない言葉「センシュアル」。色気ともセクシーとも解釈できるが、パリ在住の皮膚科医である著者の定義は「官能ある知性」または「都会的でエレガントな野性」だという。

 本書ではセンシュアルな男性が身につけるべき服や靴から立ち居振る舞い、はてはアンダーヘア処理まで、男の美学を事細かに提言。「こちとら吊るしと床屋で育ってんだ、しゃらくせぇ」などと侮るなかれ。日本の壮年男性に絶対的に不足している「色気と洗練と語彙」を伝授してくれる。また、薄毛、ED、エイジング治療など最先端医学にも触れ、有益な情報も満載だ。

 日本男性はセンシュアルではないと斬り捨てる辛口指南が、逆に一念発起の原動力になるかもしれない。(ディスカヴァー・トゥエンティワン 1000円+税)

「60歳からの欲情」川北義則著

 定年後くすぶっている男性に「もっともっと遊びなさい」とエールを送る一冊。デートに誘う、不倫を楽しむ、SNSで出会う……60代がスマートに遊ぶための心構えとマナーを指南。目指すべきは「軽く明るく面白く」。例えるならば、高田純次のノリだという。

 さらりとしたエッセー調だが、60代男性の体験談がちりばめられており、切実な現状も垣間見える。遊びと加減を知らないと、色ボケまたはストーカーになりやすいという教訓も。常日頃から射精をしておくこと、週刊誌のセックス記事を手本に、財布には2万~3万円を常備しておくなどの提言は実用的。非現実的な指南ではなく、実体験に基づく共感型の恋愛&セックスガイド本だ。(KADOKAWA 1300円+税)

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