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アナログ地図をたっぷり楽しもう特集

「地図の物語」アン・ルーニー著、高作自子訳

 カーナビや地図アプリに頼りっ放しの暮らしで、最近ではすっかり手にする機会がなくなってしまった地図だが、実はその役割や楽しみ方は無限大。手軽で便利なデジタル地図では味わえない、その奥深い魅力を案内してくれる面白地図本を紹介する。

 人類は地図を通して、どのように世界をとらえてきたのか。約2万5000年前にマンモスの牙に刻まれた人類最古の地図「パブロフ図」からグーグルアースまで、140枚余のさまざまな地図を紹介しながら、その変遷をたどるグラフィックブック。

 紀元前1500年ごろに製作された、粘土板に刻まれたバビロニアの宗教都市ニップルを描いた市街図は、距離の概念が見られるものとしては現存する最古の市街図。その他、高さ1メートルの石碑に中国の海岸線と河川網を驚くほど正確に描いた「禹跡図」(1137年)、新世界が描かれたダチョウの卵を利用した地球儀(1504年)など、「現存する最古」という形容詞がつく地図が続々と登場。中には、ビーズや貝殻を木の板に配したルバ王国(現コンゴ民主共和国)の王の旅路を示す歴史地図「ルカサ」のように、オブジェのような地図もある。

 地図を作るために先人たちが最初に手にした道具が「測量」だ。紀元前200年ごろには経度と緯度の仕組みが生み出され、ローマ帝国時代には測量技師が活躍。「ポイティンガー図」(現存するのは12~13世紀の模写)には、測量されたローマ帝国とその周辺の経路10万キロ以上が描きこまれている。

 世界のすべてを地図化するに至り、丸い地球を平面に描く際のひずみを最小限に抑えるために編み出されたさまざまな投影法によって描かれた各種の地図など、先人たちの世界観を地図で読み解く、知的好奇心がくすぐられるお薦め本。

(日経ナショナル ジオグラフィック社 2700円+税)

「地図趣味。」杉浦貴美子著

 地図を偏愛する著者が、その魅力をつづった地図賛歌。

 機能的な美しさを持つ「地質図」との出合いをきっかけに地図が好きになったという著者は、以来、地図は必要なときに読むものから、観賞するものに変わったという。アポロ11号の調査結果をまとめた月面地図や、マーシャル諸島に暮らす先住民が作った海の地図、そして江戸時代の国学者・本居宣長が実在しない場所を精緻に描いた空想地図「瑞原氏城下地図」など、お気に入りの地図の数々を紹介。

 さらに、地図好きが高じて地層をお菓子で再現したいと考案した「地層ムース」や「等高線ケーキ」などのオリジナルレシピ、地図の世界にどっぷりとつかれる専門博物館ガイドなど。読者を地図の魔界に妖しく誘う。

(洋泉社 1500円+税)

「地図がわかれば社会がわかる」田代博著

 地図の役割の基本は「道案内」ではあるが、最近では地図が命と生活を守る不可欠なツールであるとの認識も広がっている。そのひとつが「ハザードマップ」だ。また世界の地震の震源分布図と原発の分布図を重ね合わせると、多くの原発を持つ米国やヨーロッパ各国に比べ、変動帯に多くの原発が立地する日本は異常な事態であることがよく分かる。本書は、社会を映す鏡である地図を、多視点から解説した入門テキスト。

 地図の歴史や社会とのかかわりから、半世紀ぶりに改訂された「2万5千分の1地形図」の特徴、デジタル地図の最新情報や活用法、そしてお薦め地図アプリまで。進化を続ける地図の世界を案内。

(新日本出版社 1700円+税)

「鉄道唱歌と地図でたどるあの駅この街」今尾恵介著

「鉄道唱歌」とは、1900(明治33)年に発表された「地理教育鉄道唱歌」のことで、第1集の「東海道」編にはじまり、「山陽・九州」「奥州・磐城」「信越・北陸」「関西・参宮・南海」と全5集、合計1000万部以上を記録した大ベストセラー。

 例えば東海道編では途中、横須賀線などにも寄り道しながら、新橋駅から神戸駅まで当時の東海道本線の主要な駅名や沿線各地の名物、名所旧跡を紹介しながら、土地の空気感などを66番まで続く歌詞で伝える。本書は、各ページに当時の地図を添えて、その全5集の内容を解説した鉄道本。鉄道史を振り返るとともに、古地図が存分に味わえる一粒で二度おいしいファン必携本。

(朝日新聞出版 1500円+税)

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