新常識にチャレンジ 「最新健康本」特集

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「うつかな?と思ったら男性更年期を疑いなさい」堀江重郎著

 世界一の長寿国である日本には数々の健康法が存在し、いつの間にか、かつての常識が非常識になることも少なくない。どうせやるなら、時代遅れの健康法よりも、最新の研究により導き出された新常識にチャレンジしてみたい。そこで今回は、旬の健康法の本を5冊取り上げる。

 40代を過ぎて男性ホルモンの代表格であるテストステロンが減少すると、性欲の減退だけでなくうつに似た症状も表れやすい。これはLOH症候群と呼ばれる、男性の更年期障害。性ホルモンの減少による更年期障害は、女性だけに起こるものではないのだ。

 実は、更年期障害からくる精神症状に抗うつ薬を服用すると、テストステロンをさらに減少させてうつ症状が悪化するケースもある。一方、テストステロンを補填する治療を行えば、更年期障害によるうつ症状は劇的な改善が期待できる。中高年期の男性にうつ症状が表れたら、まずテストステロン値の検査をすることが望ましい。また、夜更かしをしない、学生時代の友人と頻繁に会う、コレステロールをしっかり取るなど、更年期対策になるライフスタイルの一工夫もお勧めだ。(東洋経済新報社 1300円+税)

「痛みはうつぶせで治しなさい」舟波真一、山岸茂則著

 腰や肩、ひざの痛みへの対処法といえば、揉んだり叩いたりすること。しかし、本書が勧めるのは“うつぶせになってユラユラする”こと。たったこれだけで、痛みが改善されるのだという。うつぶせになると、立っている状態と比べて内臓を守る「腹圧」が腹全体にちょうどよい加減に調整される。そして、この状態でユラユラと揺れると、腹圧と密接に関わる「脳幹」によい刺激が伝わる。

 さらに、体のこりや痛みは、筋肉や骨を包む「膜組織」がゆがんだり硬くなることが引き金になる。脳幹が刺激されて自律神経が整うと、全身の血行が良くなり膜組織がほぐれて伸び、痛みの解消につながるそうだ。うつぶせになり、1秒間に1~2回のテンポでお尻を左右に動かす運動を2分間程度行ってみよう。冷え症やむくみ、便秘解消にも効果を発揮するぞ。(小学館 1200円+税)

「全ての病気は『口の中』から!」森永宏喜著

 日本では、成人の8割が罹患している歯周病。“もの言わぬ病”の別名がある通り、初期の段階では自覚症状がなく、口臭がする、歯がグラグラするなどの症状に気づいたときには、すでに治療が難しくなっているというやっかいな現代病だ。

 歯周病が悪化すると歯が抜け落ちるが、近頃ではその悪影響が口腔内にとどまらないことが明らかになっている。例えば、認知症だ。アルツハイマーで亡くなった人の脳を調べると、そうでない人の脳と比べて、LPSという毒素が高頻度で検出される。これは、歯周病の原因菌であるPg菌が発する毒素として知られているのだ。

 他にも、動脈硬化心筋梗塞も歯周病菌が関わっているといわれている。健康で長生きしたければ、毎日の歯磨きやデンタルフロスの活用、そして定期的な歯科受診など、口腔ケアも忘れてはならない。(さくら舎 1400円+税)


「歯はみがいてはいけない」森昭著

 日本の歯磨きといえば、毛先が3列になった歯ブラシに歯磨き粉をたっぷりとつけて磨くことが常識となっている。しかし、歯科医師の著者はこの方法にNOを突きつける。日本人は80歳を超えると自分の歯が10本以下になり、あとは抜け落ちてしまうのがその証拠だという。

 一方、予防歯科大国であるスウェーデンの高齢者は、80歳を超えても21本以上の歯を維持している。その要因は、幼い頃からの“正しい歯磨き”にある。日本人は3列毛の大きな歯ブラシで歯の表面ばかり磨く。ところがスウェーデンでは、歯垢がたまる歯間や歯の付け根をメーンに磨く。歯ブラシは、日本のものとは全く違い、ワンタフトという毛束が丸く小さいものが主流。さらに、歯間に入るデンタルフロスという糸も使うのが常識なのだ。

 今からでも遅くはない。自分の歯を守るために、間違った歯磨き習慣を見直してみては。(講談社 840円+税)

「肥満外来の女医が教える熟睡して痩せる『3・3・7』睡眠ダイエット」 左藤桂子著

 肥満外来の医師である著者は、30年にわたり3万人以上の患者を治療してきた。その経験から導き出したダイエット法が、「正しく眠る」ことだという。

 眠るだけで痩せられるなど夢のような話だが、もちろんルールがある。そのキーワードが「3・3・7」だ。まず、就寝から最初の「3」時間はとくにぐっすりと眠ること。このタイミングで分泌される成長ホルモンは脂肪を分解する働きを持つためだ。トイレに起きたりしないよう、準備を整えてから布団に入ろう。

 夜中の「3」時に眠っていることも、成長ホルモンの分泌には重要だ。そしてアメリカの研究でもっとも肥満率の低い人の睡眠時間である「7」時間を確保することも心がけよう。正しい睡眠を半年続けるだけで、5キロの減量も夢ではないそうだ。(SBクリエイティブ 800円+税)

【連載】ザッツエンターテインメント

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