「みかづき」森絵都著

公開日: 更新日:

 60年安保の翌年。千葉県習志野市の小学校で用務員を務める22歳の大島吾郎は、勉強がわからないという子供たちに勉強を教え始め、用務員室は「大島教室」と呼ばれるようになっていた。そんな吾郎に、教え子の蕗子の母親・千明が、一緒に塾を始めないかと持ちかけてきた。千明は戦後の民主主義教育に期待を寄せていたが、講和条約締結後、再び文部省の手によって教育が国家の手に握られようとしていることに強い危機感を持っていたのだ。

 千明の激しい情熱に引きずられるように、シングルマザーの千明と結婚し、共に学習塾を立ち上げる。折よくベビーブームと高度成長の波に乗って、塾は順調に発展していくが、攻めの姿勢を緩めず拡張路線を取る千明と生徒とのつながりを優先する吾郎との違いは、やがて大きな亀裂を迎えるが、2人の教育に懸ける思いは、子供から孫へと3代にわたって受け継がれていく……。

 太陽としての学校教育と月のような存在の塾との60年余にわたる相克の歴史をたどりながら、理想の教育とは何かを鋭く問う、力作長編。(集英社 1850円+税)

【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    (6)甲斐拓也が松井巨人に“切られた”本当の理由…成績低迷に加え「福岡帰省連発」でもヒンシュク買っていた

  2. 2

    秋ドラマは「芝居上手」の芦田愛菜、上白石萌音、河合優実で見る!

  3. 3

    中森明菜が口にした“幻のレコ大3連覇”と大賞の行方…紅白で再燃しそうな近藤真彦との40年の因縁

  4. 4

    維新の“泥舟化”が加速…群馬、岐阜、茨城と県組織「解散」し都市部テコ入れもガバナンスはガタガタ

  5. 5

    木村拓哉の千葉支援に重なる“解散から10年”SMAPの絆 義援金2000万円を届けた行動力

  1. 6

    ロッテ小島和哉はFA移籍濃厚…《開幕たった2戦で二軍送り》でくすぶるサブロー監督との火種

  2. 7

    (1)松井秀喜監督で“淘汰される選手” 「確率が高いものを大切に。守備走塁は100%」の真意

  3. 8

    (5)松井監督が自覚する「優柔不断」…高橋由伸ヘッドコーチも“同類”という懸念

  4. 9

    小室圭さん&眞子さんの「子供の性別」を特定したNYポストが「baby」「child」 に修正

  5. 10

    「VIVANTに出てるんだから口閉じろ」…キムラ緑子の高市首相批判に噛みつくSNSの異常と低レベル

おすすめ求人情報

オフィスワーク全般
株式会社スタッフサービスミラエール推進部 茨城県 つくば市 正社員
月給16万円~20万7,000円
看護業務/看護ケア業務/在宅看護/外出付き添い看護など/スタッフマネジメント/それに伴うオフィスワークを行います
株式会社スーパーナース・プライベート看護部 東京都 千代田区 正社員
月給37万円~39万円
「事務・オフィスワーク」大手メーカーでの事務スタッフ募集! 20代~40代活躍中
株式会社エキスパートパワーシズオカ 静岡県 裾野市 派遣社員
時給1,400円
シール貼りとデータ入力・オフィスワーク
トータルテック株式会社 福岡県 宇美町 派遣社員
時給1,150円
テレオペ/5名大募集!/名駅直結タワーでオフィスワークデビュー
ランスタッド株式会社 愛知県 名古屋市 派遣社員
時給1,450円
Sponsored by 求人ボックス