読んで納得「異常気象本」お薦め5冊

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「気候変動」ゲルノット・ワグナー&マーティン・ワイツマン著 山形浩生訳

 台風の巨大化、降るたびに新記録を塗り替える豪雨や豪雪、最高気温を押し上げる異常な熱波など、今までには見られなかったようなお天気が珍しくなくなった。いったい、いま地球の気象に何が起きているのか。そこで今回は、経済学、環境学、気象予報、植生地理学、地球気候史など、それぞれの立場から考察した気象本5冊をご紹介!



 6500万年前、地球上にいた恐竜を滅ぼしたのは巨大な隕石だったが、今や人間の活動こそが地球の気候を激変させ、人類存続の危機を引き起こす要因になっている。気候の激変に対して私たちはどんな手を打てるのか、経済学者の立場から考察しているのがこの本だ。

 今まで世界が急激な気候変動に対する有効な手だてを講じないまま放置してきた背景には、気候変動へのリスク管理が①全世界的②長期的③逆転不能④不確実という4点があると著者は言う。従来の公共政策を真似て、気候変動で食料供給が難しくなった時に、スマホの生産量を増やしてGDPを押し上げたところで役に立たないのだ。

 さらに近年、小さな硫黄ベースの粒子を成層圏に放出して人工的に地球を冷やそうというジオ・エンジニアリングに期待が集まっているものの、効果も副作用も検証されていない状況下で新技術を待つだけでは悪影響はとまらない。

 破壊的な気候変動を食い止めるためには、気候変動の影響を織り込んだ適正な炭素税の導入が必要なのではないかと説いている。(東洋経済新報社 2400円+税)

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