読んで納得「異常気象本」お薦め5冊

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「雨の自然誌」シンシア・バーネット著 東郷えりか訳

 気候変動についての話は、とかく深刻になりやすい。

 しかし、雨についての話はどうだろう。多すぎても困り、少なすぎても困る、命をつなぐためには欠かすことのできない雨についてなら、人々はもっとつながって話し合えるのではないか。環境ジャーナリストである著者は、そんな柔らかな口調で、雨を切り口にして気象についての事象をつづり始める。

 地球創生時に降った雨や火星や金星などの惑星に降る雨、音楽や文学や映画の中に登場する雨、古代文明の盛衰が雨という気象状況に大きく左右されてきたことにも言及しながら、人と雨との長い歴史についてひもといていく。時には祈り、時には恐れながら、人がつきあってきた雨は、実は私たちが放出したものが循環して戻ってきたものに過ぎない。

 本書を読むと、近年各地で見られる激しい豪雨や洪水、極端な日照り、さらには酸性雨などの影響による絶滅種の増加などが、雨から人に向けたメッセージのように思えてくる。(河出書房新社 2700円+税)

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