「ニャンニャンにゃんそろじー」町田康ほか著

公開日: 更新日:

 島田魁は11年前から京の西本願寺で守衛をしている。日勤の守衛がしかめっ面をして「またあの猫がいるんです」と言う。闇の中にいる黒猫を見つめていると、声が聞こえた。――すまん、あんたがどないかしてくれたんやな。相手はどないなやつやった? その声は数十年前に死んだ男の声だった。

 魁は若い頃、剣術の道場で知り合った永倉新八に誘われて浪士組に入り、隊の内外を監視する〈監察〉を務めた。黒猫を見るたびに、魁の耳に既に死んだ、あのころの隊士たちの声が聞こえるようになり、思い出したくないことまでよみがえらせた。(小松エメル著「黒猫」)

 町田康、有川浩らが書いた猫の短編や、ねこまき作のマンガなど9編。(講談社 1400円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  4. 4

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  5. 5

    国分太一の不祥事からたった5日…TOKIOが電撃解散した「2つの理由」

  1. 6

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  2. 7

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  3. 8

    「ミタゾノ」松岡昌宏は旧ジャニタレたちの“鑑”? TOKIOで唯一オファーが絶えないワケ

  4. 9

    中居正広氏=フジ問題 トラブル後の『早いうちにふつうのやつね』メールの報道で事態さらに混迷

  5. 10

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償