「その日の後刻に」グレイス・ペイリー著、村上春樹訳
中国旅行をしている22人のアメリカ人は、みんな中国革命や中国人民に恋をしている観光客だった。
ところがある日、旅行サービスの政治指導委員のミスター・ウォンが、あなたがたは中国の人民を愛してはいないと非難した。許可もなく写真を撮ったと。老人が太極拳をしたり、服飾業の職人がバラをスケッチしている写真を撮ったとき、誰かが「あなたの写真を撮ってもかまいませんか?」と聞くのを忘れたのだろうか。
ウォンは、フレデリックが、荷車を引く貧しい農夫の写真を撮ったと言い、さらに彼が製麺工場に侵入したと。(「どこか別のところ」)
アメリカのカリスマ作家の17編の短編と、エッセー、ロングインタビューを収載。
(文藝春秋 1850円+税)