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湯浅誠

社会活動家・法政大学教授。1969年、東京都生まれ。日本の貧困問題に携わる。著書に「ヒーローを待っていても世界は変わらない」「『なんとかする』子どもの貧困」など多数。ラジオでレギュラーコメンテーターも務める。

人間の人間的領域都はどこなのか

公開日: 更新日:

「人工知能の『最適解』と人間の選択」 NHKスペシャル取材班/NHK出版 780円+税

 私たちの子や孫の世代が、人工知能(AI)の急速な進展の中をいかに生き延びるのか。考えたくない人はいるだろうが、関心のない人はいないだろう。それを考えたのが、この本だ。

 タクシーの過去の走行記録や乗車記録、それに周辺のイベント情報などから、今どこへ行けば客がいるのかをAIが教えてくれる。そうすれば運転手はすぐに客を見つけられ、客はすぐにタクシーを拾える。これはすでに実現している。過去の膨大な相場データから、AIがポートフォリオを形成し、株の売買を行う。これもすでに実現している。誰をどれだけ刑務所に入れておくかを決めるのに、AIが再犯リスクを予測する。これもすでに実現している。AI政治家の育成も、すでに始まっている。

 AIが膨大なデータを読み込み、それに基づいた診断を提供してくれれば、人間はそれを参考にして、より的確な判断を行えるようになる。結果としてみんなが幸せになれる。他方で、AIがなぜそう診断したのか、そのプロセスは「ブラックボックス」で、人のように「どうしてそう思うの?」と聞くことができない。加えてAIは日進月歩どころか、指数級数的に進化していく。人間が「教師データ」を入れなくても、自ら学習していくディープランニングが花盛り。いずれ人間を追い越す特異点(シンギュラリティー)が来る、とさえいわれている。人は「参考にすればいい」と言うし、「参考にしただけ」と言い張るだろうが、私たちはいつまで「判断すること」を自分たちの手元に置いておけるだろうか。

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