「炎と怒り トランプ政権の内幕」マイケル・ウォルフ著 関根光宏、藤田美菜子ほか訳

公開日: 更新日:

 トランプ政権の内幕を暴いた本書が発売される直前、トランプ大統領は本の内容は間違いや偽の情報であふれているとして出版差し止めを要求。出版社は発売を前倒しするとともに、当初15万部を予定した発行部数を急遽100万部を重版したという、発売前から話題を呼んだベストセラー。

 著者がトランプに初めて接触したのは大統領選さなかの16年5月。そこから1年半かけて、トランプはじめ彼を取り巻く幹部ら200人にインタビューを行い、それをまとめたのが本書。ここで描かれるトランプは、外交や医療保険制度などの政策についての知識も関心もなく、その場しのぎで発言を繰り返す、およそ政治家とはかけ離れた奇矯な人間である。

 そのほか、娘のイバンカが明かしたトランプの髪形の秘密なども書かれているが、本書の最大のスキャンダルは、トランプ本人もその周囲の人間も、誰ひとりトランプが大統領になるとは全く思っていなかった事実を描き出したことだ。冗談が本気になったという戸惑いの上で成り立つ政権。この恐ろしさに身がすくむ。(早川書房 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  3. 3

    落合監督は投手起用に一切ノータッチ。全面的に任せられたオレはやりがいと緊張感があった

  4. 4

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景

  5. 5

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  1. 6

    今思えばあの時から…落合博満さんが“秘密主義”になったワケ

  2. 7

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性

  3. 8

    三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋