「流出した日本美術の至宝」中野明著

公開日: 更新日:

 日本の貴重な美術品が明治維新の混乱の中、海外に流出した。

 その原点は、政府による廃仏毀釈。中でも興福寺の五重塔を取り壊すことで落札が行われ、さらに焼き払おうとしたが、類焼を恐れる周辺住民の訴えで、取りやめになったという。

 美術品を救ったのが、ものを見る目を持った外国人たちで、たとえば、アーネスト・フェノロサは日本美術の研究者としても名高く、その収集した国宝級の作品はいまではボストン美術館に収蔵されている。現代に目を移すと、若冲ブームの火付け役となったジョー・プライスもその一人だ。

 日本では捨て値同然だった古美術品に群がる外国人コレクターたちが繰り広げた美術品争奪戦を、当時の記録をたどって読み解く。

(筑摩書房 1700円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「マラソン」と「大腸がん」に関連あり? ランナー100人への調査結果が全米で大きな波紋

  2. 2

    “マトリ捜査報道”米倉涼子の圧倒的「男運」のなさ…海外から戻らないダンサー彼氏や"前科既婚者"との過去

  3. 3

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  4. 4

    大阪・関西万博「最終日」現地ルポ…やっぱり異常な激混み、最後まで欠陥露呈、成功には程遠く

  5. 5

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  1. 6

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  2. 7

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  3. 8

    巨人の大補強路線にOB評論家から苦言噴出…昨オフ64億円費やすも不発、懲りずに中日・柳&マエケン狙い

  4. 9

    元体操選手の鶴見虹子さん 生徒200人を抱える体操教室を経営、“アイドル”も育成中

  5. 10

    地上波連ドラ3年ぶり竹内涼真に“吉沢亮の代役”の重圧…今もくすぶる5年前の恋愛スキャンダル